予め断っておきたいのは、我がブログで「うまい、まずい」を書くときはほとんどが自前で購入しているのだけれど、今回はマルハラフーズさんからいただいたものであると言うこと。いただきものにしっかりした評価ができるだろうか、ちょっと不安だが思ったことを記していく。
まずマルハラフーズからいただいた「まかない干し」という商品である。これは国産のサバとサンマを使い、しょうゆ、砂糖、米発酵調味料、純米酒、ニンニク、味噌で味つけしたものである。実を言うとこの複雑な味つけで、どんなものが出来上がるのか皆目見当がつかないが、タレとしてみると非常にいい取り合わせである。しかもここには旨味調味料も色素などはまったく使われていない。その点でも子だくさんの我が家では安心できる商品である。
送られて来たときは冷凍状態である。これに関してはカネマル笹市からも教わったことだけど、干物は冷凍流通しても品質の劣化は皆無なのだ。それを室温で解凍して慎重に焼く。焼き上がったものを食卓で熱いままにご飯のおかずにする。まず、甘味が先に来て醤油や味噌の風味が来る。この味わいが複雑であるのに驚く。その複雑さがバランスがとれているためにくどさには繋がっていない。むしろ食べやすいのだろうか、家人と子供が驚くほどの勢いでむさぼり、2枚があっという間になくなる。その皮までむしゃむしゃ食べて思うに、酒と味噌の発酵してできた旨味が複雑さを呼んでいるのだが、決してサバの旨味を消し去っていない。塩分濃度はそのまま食べるとやや高めだけれど、ご飯に合わせるとちょうどいい。サバの身は箸でほどよくほぐれるのだけれど、これをご飯にのせて咀嚼するといくらでも喉を通りそうだ。
また、これは酒の肴にも向いている。ただしボクが本日、嗜んだのは二階堂麦焼酎である。ここで製造者の方には申し訳ないが、ほんの少し七味唐辛子をふらせていただいた。我が家の七味は浅草の薬研堀でやや山椒を多めに配合してもらったもの。これがとてもよかったのである。常々思うのだが、干物に山椒や七味唐辛子がとても合うのだ。他には塩サバにはコショウ。干物の販売にこれらの小袋が付いていると面白いだろうなと思うことがある。
この商品が「漁師まかない干し」であるのは、毎日魚を食べる生活にあって「漁師が食い飽きない味わい」としてまかないに造るものと言う意味だろう。当然、沖合で暮らすサバ巻き網の漁師さんなど、端的に「うまいもの」を作り出さないと日々暮らせないだろうから、このような複雑な味つけの原型が生まれるというのもわかる。
また姉妹品にサンマを使ったものがある。ここでは細かいことは省くがこれも絶品である。同社の「さんまソフトみりん干し」よりもさっぱりしていて酒の肴にも出来る。ちなみに我が家ではボク以外には「さんまソフトみりん干し」も好評であったことを明記しておく。
味わいには文句なしなんだが、商品名はこれでいいのだろうか? 「さば漁師まかない干し」はとても説明的でわかりやすいのだが、ある意味特徴がない。例えば銚子は「漁師の交差点」のようなところ。もっと銚子の名を活かしてもいいのではないか、そしてもっと短いネーミング。でも実際に名前を考えるといろいろ難しいんだなと思い知る。「黒潮干し」「漁師干し」「船暮らし漁師干し」「かしき流」、考えれば考えるほどろくな名前が出てこない。結局名前もこれでいいのだろう「さば漁師まかない干し」。
マルハラフーズ
http://www.maruhara-f.com/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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