東名高速が2つに路線が分かれたときに、遙か西の山が閃光をはなった。雷だろうか? と思う間もなく雨粒が落ちてきたが数滴。それが御殿場を過ぎる頃には土砂降りとなる。雷の閃光が山並みを浮き上がらせる。時刻は2時半。このままでは沼津港に早く着きすぎるので裾野インターで下りる。裾野インターから沼津までは長い長い下り道。ほとんど信号にも止められずに、沼津市街に入り、漁港についたのが3時ちょうどである。
かれこれ4ヶ月ぶりの沼津魚市場だ。いつもより早く10日に解禁したトロールは今日が初競り。静浦の大成丸、志下の大共丸がすでに魚の選別を始めているが、漁獲物の漁は解禁初日なので半端な量ではない。いつもなら知っている顔に挨拶をして回るのだが、とても声をかけられない。そしてすぐに戸田の慈愛丸、清正丸、光徳丸、日ノ出丸などもきてトロールの競り場は埋め尽くされていく。
今年初めての水揚げなのだが、どの船でも赤ものが多い。赤ものというの超高級魚のアカムツ、「かさご」と呼ばれるユメカサゴ、「赤かさご」のシロカサゴ、アカカサゴ、「あぶらごそ」のヒウチダイ、マルヒウチダイ、「ごそ」のハシキンメを言う。本日はとくにユメカサゴが山のようになっていて、これを大中小に分けるのが大変なのだ。また今では高級魚になったヒウチダイも今日はそれなりにとれている。またアカカサゴは少なく、シロカサゴばかりだ。
タラバガニ科のエゾイバラガニ、「夫婦がに(みょうとがに)」イバラガニモドキ。クモガニ科の駿河湾名物タカアシガニも見られた。「夫婦がに」はとれる量が少なく、今日などは高値取引違いなしだ。コシオリエビの仲間でオオコシオリエビを「くもえび」というのだけれど、今日はなかなか高値であるという。
トロールのエビは「手長えび」のアカザエビ、サガミアカザエビ、「本えび」ヒゲナガエビ、「しまえび」ヒカリチヒロエビ、「赤えび」ツノナガチヒロエビ、「甘えび」ジンケンエビ。今日は何と言っても「しまえび」ヒカリチヒロエビが他を圧倒しており、仲買さんも「しまえびは安いよ」と言う。また「本えび」がやや少な目。ボタンエビは今日はほとんどの船でまとまらなかったようだ。
軟体類ではチヒロダコ、スルメイカ。
魚は見事なアラは1本だけ、ソコアマダイ、ソコアマダイモドキ、「目光」アオメエソ、トモメヒカリ、ニギス、カゴシマニギス、ヤナギムシガレイ、キアンコウ、チゴダラ、「あごなし」ギンメダイ、ギス、オオメハタ、ナガオオメ、マアナゴ、トウジン、テナガダラ、「ひげだら」ヨロイイタチウオ、クロムツ、オキトラギス、ツボダイ。
トロール以外では珍しいヒオドシ、カサゴ、トゴットメバル、「ぼうちょうかさご」ウッカリカサゴ、「おにかさご」イズカサゴ、イトヨリ、マゴチ、イネゴチ、ワニゴチ、マダイ、スズキ、イサキ、マダイ、キダイ、タチウオ、アカカマス、シロギス、イヤゴハタ、マハタ、タカベ、「もろこ」クエ。
午前5時になると沼津の甲殻類などの研究家、飯塚栄一さんがきて一緒に見て回ったが、やはり今日は珍しいものはなく、ただただトロールの初競り見物に終わってしまう。
また出来れば安値のヒカリチヒロエビを買って帰ろうと思っていたら大共丸さんが「しまえび」ヒカリチヒロエビ、売り物にならないベニガラエビをうんとこさ分けてくれた。まことに感謝。
今回のラストショットは飯塚さんと、沼津魚の達人、仲買の「山丁」菊地利雄さん
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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沼津魚市場関係者が通う「たか嶋」