秋のテングダイは金の草鞋を履いてでも

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 いかんタイトルを書いてしまって気がついた。「金の草鞋を履いてでも探す」のは年上の姉さん女房であった。その点からするとテングダイは「亭主の好きな赤烏帽子」の方だろう。なんとか出来ないのだろうか、この趣味の悪さ、派手すぎる背ビレ。こんな魚と結婚(食べても)しても幸せになれるだろうか? なれるわけがない。と思われても仕方ない。まあ、某野球団監督の妻などその最たるものである。
 閑話休題。
 このテングダイが秋になると正しく変身する。うすっぺらな外見ばかり気にして厚化粧女から、まるで「功名が辻」の千代さんのごとく。いかんそろそろ本題に行かなくては。
 閑話休題、閑話休題。
 もともと市場では希な魚ではあるが秋になると大分や和歌山から入荷がある。また沼津や伊豆、相模湾などの定置網にも紛れ込む。この時期、来春の産卵に向けて脂をため込んでいる。それで白いきれいな身ではあるが、少々味わいに欠けてしまっていたのが俄然甘味を得るし、その上、じわりと旨味すら感じる。シコっとした食感もまことに心地よい。特に背ビレの縁側など「ああ…」とため息が出るほどうまい。
 思うにテングダイのカワビシャ科の魚はどれをとってもうまい魚ばかりだ。ツボダイ、クサカリツボダイ、カワビシャ、そこにテングダイだけのけ者にする理由などまったくあるはずがない。
 こうなるとまるで元禄縞のように派手過ぎる横のラインと高すぎる鼻が市場の評価では仇となる。でも貧乏人や「お客の懐を気にして、安くてうまい魚を探している」優しい飲食店主には狙い目の魚であるな。

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大分県「丸昌水産」からきたもの。出来るだけ大きいものを選ぶ

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このページは、管理人が2006年11月 6日 12:55に書いたブログ記事です。

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