2007年2月11日アーカイブ

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 お茶の水から湯島天神に向かい、坂を下って地下鉄湯島駅までのコースはボクの無駄歩き最短コース。時間があればそのまま上野広小路、御徒町と歩くのだが、冬の夕暮れ時を楽しむのには、この最短コースでも充分である。
 その湯島駅に下りてしまおうという交差点そばにあるのが「よろずや」である。夕暮れ時にみる「よろずや」がなんともいい風情なのだ。陳列ケースの下側が白いタイル張り、その奥の裸電球の色合いがなんとも美しい。
 いつも冷蔵ケースをのぞいて、「やっぱり湯島という土地はお高いんだな」と思いながら通り過ぎる。この日も“生ダラ1切れ600円”“生かじき1切れ800円”とあって足がすくむのだ。でもその奥にうまそうな「こはだ」がある。

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 見たところ間違いなく“こはだサイズ”。この時期は「なかずみ」が多く、小振りのを見つけるのは大変だろうな。見ている内に「こはだ」を買いたくなる。
 店の脇に回ると女性がいて、白衣の老人がまな板の前に向かっている。
「こはだ幾らですか?」
「一人前700円です」
 やはり、そんじょそこいらの魚屋よりは値段は2段くらい上である。でもせっかくだから一人前お願いする。「サヨリを混ぜましょうか?」というので2種盛りに。ついでに「タコ酢500円」。合計1200円は我が家としては散財である。

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 この「こはだ」がなかなかうまい。〆ぐあいがやや軽く、ほんのりこはだの味わいが生きている。仕入れが上手なのだろう。まったく生臭みがない。サヨリも上々。タコ酢の酢の味わいが上品で爽やかである。
 まあ、酒場で遭難するよりも、「よろずや」で散財する方が遙かに健康的である。月に一度は「よろずや」で〆ものを買うというのもいいだろう。


よろずや 東京都文京区湯島3丁目34-12


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 日野市豊田駅前にもコンビニがあって、ときどき利用している。たぶん傘を買ってしまった回数の最大はここである。でもここが「スリーエフ」という名前であることを初めて知ったのである。だいたいコンビニに入っても店名のことなどまったく興味の対象ではなく「便利だから入る」すなわちまさしく「コンビニエンス」な使い方をしているということだ。

 ここで面白いものを見つけたのだ。そのお握りが、ずばり「銀鮭」、そして原材料も「銀鮭」とある。

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 しかしこの表示の仕方、だれが考えたんだろう漢字である。コンビニのお握りを買い裏側を見るようになって気がついたことだが、原材料表示の指導をするにプロは存在しないようだ。我がサイトを見てもらうとわかるのだが、標準和名は常に「カタカナ」であり通称、商品名は原則「」でくくる。もしくは漢字か平仮名書きなのだ。すなわちこれだけで標準和名か通称か商品名かが明確にわかる。それなのにコンビニの表示はなんなんだ「責任者出てこい!」。
 でもまあ原材料「焼鮭」とか「鮭類」よりはましなのである。でもね、この銀鮭は養殖なんだろうか? 天然だろうか? 国産だろうか? 輸入だろうか? さっぱりわからん。消費者はこんなところに注意した方がいい。
 近年、ギンザケというと天然だとアラスカかロシア産である。でも非常に量は少ない。そこからするとチリからの養殖ギンザケの多くは日本に来ているのだ。その量たるや凄まじい。2006年で72326トン。ちなみに国産サケの年間漁獲量が25万トン前後だからギンザケだけで3分の1にもあたる。しかもこの多くが塩水に漬けられて塩鮭となっている。と言うことでチリ産の養殖ギンザケが原料ということか?
 ちなみに我が国ではギンザケにタイセイヨウサケ約26000トン、サーモントラウトなどを足すと175000トン前後になる。
 先に国産のサケの漁獲量が25万トン前後と書いたが、ここから輸出量を引くと19万トン前後となる。しかもチリなどからの輸入ギンザケは“はらわた”も頭も落とされ、ときにフィレでの換算である。どれだけ日本人が養殖のサケ類を食べているかがわかろうものだ。だからこの現状を食べている側にも教えなければならない。
 しかるに今回の「銀鮭」を販売するスリーエフも埼玉の「トオカツフーズ」も表示は「銀鮭」だけとは嘆かわしい。もっとコンビニ業界も良識を持って食べ物を売って欲しいものだ。

 と言うことで、いろいろ思い、そして調べた後で食べてみた「銀鮭」を……。これ味わいとしてはがっかりだな。セブンイレブンやam-pmが優秀すぎるのだろうか? 平凡な味わいだし、中身の銀鮭(塩水につけて作った塩鮭だろう)が少なすぎる。脂があるか、風味があるかなど感じないままに喉の奥に消えてしまった。早食いすぎたのかな。また合成保存料や添加物はまったく使われていないようだ。その点では偉い!

 最後にコンビニで鮭おにぎりばっかり買うようになって考えた。ひょっとしたら切り身や丸など市場や魚屋、スーパーなどで取り扱うサケ類よりもコンビニなどで取り扱うものの方が量的に大きくなって来ているのではないか? これはどうやって調べたらいいんだろうね。

参考資料/水産庁「水産物輸出対策の現状と課題」、日刊シーフーズ・ニュース「2006年12月サケマス輸入貿易統計」

スリーエフ
http://www.three-f.co.jp/
トウカツフーズ 埼玉県川口市元郷4の5の1


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 八王子綜合卸売センター『高野水産』に相馬市原釜の八巻水産から
「なんだこれ、おおい、なんだろうな? “はらす”って書いてあるぞ」
 といった代物がとどいた。どうも砂刷り、すなわちはらわたを包み込んでいる薄い部分であるようだ。
「なんだか白いぞうきんみたいだな」
 立川で居酒屋をやっている『太鼓』さんが、手に持ってひらひらさせている。どこか楽しそうだ。この方、こうやっていろいろネタ探しをするのが好きなのである。
 そしてこの日は八巻水産からアブラツノザメのむき身も並ぶ。

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福島県相馬市原釜港底引き網で揚がったアブラツノザメを港でむいたもの

「あ、これはアブラツノザメの腹身だね。これはうまそうだ」
 と言うと高野社長が「そうだ」と言いながら少し分けてくれる。
「どうやって料理すればいいのかね」
『太鼓』さんが山形なまりで聞いてくる。
「普通は煮つけだね。きっといい煮こごりができそうだし」
「唐揚げはどうかな」
 こちらは日野市豊田駅南口の居酒屋「うろこ」さん。
「クセがないからね。唐揚げ、軽く干して焼くなんていいんじゃない」

 アブラツノザメは世界中の寒帯、そして温帯域の深い場所に生息している。一昔前まではたくさんとれて宮城県の笹蒲鉾の原料となったり、また高級な練り物原料ともなっていた。また大型のものは、むき鮫として現在でも高く取り引きされてもいるのだ。
●詳しくは青森の「田向商店」のページへ
http://www.tamukaisyoten.co.jp/

 ボクはこれを素直に煮つけにする。そして流し缶に入れて煮こごりを作る。
 煮こごりにする以前に煮つけのうまいのにビックリした。身が柔らかいのにしっかりしているというか、適度な弾力性を持っている。まるで良くできた練り物のようでもあるがしっかり繊維質を感じる。これが噛みしめるとすぐにほぐれ砕けてくれる。その上品な脂分と旨味もたまらない。
 そして冷蔵庫で冷やすとこれも見事な煮こごりが出来上がった。その味わいは筆舌に尽くしがたい。なによりも煮こごりに充分すぎるくらいにアブラツノザメの旨味が染み出している。
「煮つけを食べ過ぎるんじゃなかった」
 後悔していると太郎が白いご飯にのせている。のせたご飯との接点はもう溶け始めて汁になっていく、そこをかき込む。そしてまた煮こごりをのせて、またのせて。
 見ている間に煮こごりはなくなっていくのだ。どうも煮こごりのうまさの真価は酒の肴よりも、ご飯にのせて発揮されるようだ。

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 さて、このアブラツノザメの腹身、また来週も入荷してくるのだろうか? 火曜日が待ち遠しいな。

市場魚貝類図鑑のアブラツノザメへ
http://www.zukan-bouz.com/sameei/tunozame/aburatunozame.html


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