アブラツノザメのスープ

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 青森の田向さんのところから来たアブラツノザメの「はらす」。これを田向さんのアドバイスにしたがって「お吸い物」に仕立てる。
 田向さんは、「“はらす”を一口大に切り、一塩しておく、これを沸騰した青ネギを入れた湯のなかで煮立たせないように15分ほど煮る」ということだった。確かにこれはあっさりと上品なお吸い物になる。でもすすってみてややもの足りない。むしろ「はらす」のエキスをしっかり汁に煮出した方が味がいいのではないか? と思われた。

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水とはらすとネギの青い部分だけ

 それでもっとも簡単な方法でスープをとってみる。アブラツノザメにはまったく臭みがない。でもことこと煮ていくと、アクも出るだろうし、やはり生の肉片なのであるからクセも出てしまうかも知れない。それで水とネギの青い部分、そして「はらす」の細切りを入れて火をつける。湧いてきたらよくアクをすくい取り、煮立たせないように15分ほど。
 塩で味を調えて、青ネギをとりだし、器についでネギを散らした。これがなんとも素晴らしいスープなのである。まったく臭みがない。そしてスープには濃い旨味と、脂分からくる甘味が感じられるのだ。たぶんこれにコショウをふり、ラーメンスープにしても「魚貝由来のスープ」だとは思うかも知れないが、だれもサメの腹身までは思い至らないだろう。

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 スープで味わった後にもう一度、今度はセージとローズマリーの乾燥葉を入れて30分ほども煮詰め、塩コショウで味つけ、冷やしてジュレにしてみた。これがブルルンとした食感であって旨味が強く、いい味わいである。オシャレを気取ってシブレットを飾ると見た目にも非常に美しい。
 アブラツノザメの「はらす」は和だけではなく、フレンチの素材としても面白そうだ。


田向商店
http://www.tamukaisyoten.co.jp/
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コメント(1)

管理人さん

醤油に鮫のハラスは一番合うように僕は思っています。
醤油がしみこんだハラスもとろけるようで美味しいですよね。
決してメジャーな食べ物にはならないと思いますがサメハラスの食べ方を紹介してくれてありがとうございます。

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このページは、管理人が2007年2月17日 16:07に書いたブログ記事です。

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