船室で料理を作る佐藤吉信さん
まずは戸田沼津の旅の「ありがとう」のひとつから。
戸田トロール滋愛丸での底引き網は楽しかったのだ。確かに不漁ではあったが、とにかく底引きというものは水揚げされる魚貝類が多彩極まりないし、また新発見も多かった。
そしてなによりも良かったのが、乗組員である佐藤吉信さんの作り出す賄いのうまいことだ。
まずは朝ご飯から、「これなど陸で作ったらちっともうまかないだら」といいながらどんぶり飯に漬物、ゆで卵に、そしてそしてどんぶりいっぱいのみそ汁。中身は赤えび(ツノナガチヒロエビ)、本えび(ヒゲナガエビ)とかさご(ユメカサゴ)、喉黒(チゴダラ)それに白菜にネギ。あと材料といったら水と味噌だけだろう。
ユメカサゴ、チゴダラ、ツノナガチヒロエビ、ヒゲナガエビ、ジンケンエビなどが見える
このみそ汁が「許して許して、うますぎて息苦しい」ほどの凄いものだったのだ。
「うまいだら。これは沖に出なくちゃ食べられないけんね」
同じく乗組員の佐藤正次さんが笑っている。
これをすすり込み、そこに真っ白な炊きたてご飯を口に放り込む。あああ! 耐えられないうまさだ。不眠でここまで来て疲れていて、頭が薄ぼんやりしていたのが一気に目覚めてくる。頭痛すらも和らいできたのだからビックリ。そう言えばこんなに満足至極な朝飯なんて久しぶりではないか? 佐藤吉信さんは笑いながらみそ汁のお代わりを手渡してくれる。
お二人が底引き網の持ち場についてからも、お代わりのみそ汁をじっくり楽しませていただく。
さて、どうして底引き網の魚がうまいかというと佐藤さん曰く「深海の魚は独特の脂があるから」だという。特にかさご(ユメカサゴ)は出汁が出るのだという。
「だけんど、魚だけじゃうまかない。ここにエビがくるから倍うまくいなるだ」
味噌もよく見ると大手メーカーのどこにでもあるもの。このみそ汁のうまさは総て深海の魚貝類ベースのもの。
「これが楽しみだら、底引きはね」
佐藤正次さんはカツオ漁に長年従事していたという。それから底引き網漁に転職していちばん感激したのがこのみそ汁の味だと言うからには、漁師さんにも一目おかれる味わいなのだ。
ご飯にみそ汁、漬物が基本形
戸田の深海魚を味わうなら
滋愛荘 静岡県沼津市戸田270-3 電話0558-94-2643
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