幽庵焼きの基本は結局「地」だろう。「酒1、味醂1、醤油1」の地で味わいは決して甘くない。このちょっと素っ気ない地では漬け込む魚の良し悪しが如実に出てしまう。
今回の魚は「さごち」すなわちサワラの若魚であり、脂も旨味ものっていない。これに大人の魅力を要求しても始まらない。今回は基本形に砂糖と魚醤油(魚と麹を合わせて醸したもの)を加える。
そう言えば最近「幽庵焼き」と書く以外に「柚庵焼き」とあることが多々ある。まあ本来の琵琶湖の魚を料理するに堅田幽庵(北村祐庵)が工夫したという由来からは明らかな間違いだが、この柚というのが悪くない。ボクは地に柚の香りというのが好きである。今回は海老名の海老さんからいただいた最後の柚を風味づけに使った。
ここまで右往左往して、やっと「さごちの幽庵焼き」は出来上がった。子供にも酒の肴にもいい、しかもキロあたり500円という激安の「さごち」だから家計にも優しい一品となった。
懐具合の寂しい月末には「さごち」、これは貧乏人の知恵ですな。
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