徳島県徳島市沖州市場で見つけたのがタチウオを短いリボン状に切り、塩で和えたもの。これが発泡トレイに入れられてずらりと並んでいる。
一体これは何なんだろう? 仲買の方に聞いてみると、
「酢のもん(酢の物)にするんじゃ」
と言う応えが返ってきた。
これを小売店などで買い、各家庭で甘酢などに漬け込むようだ。
タチウオの旬は夏ではないかと思っている。自信なさげな表現となってしまうのが、産卵期の長さ故である。タチウオは海水温が高いと産卵が早まり、低いと遅くなる。春から秋まで、棲息する海域の水温によって産卵期がバラバラ。となると旬も以外に「夏」という単純な考えは慎むべきであるようだ。
ちなみに土曜日の混乱状態で産地不明であったタチウオ。卸してみると抱卵していた。しかも三枚に卸しているとべったりと脂がつくほど。まさに旬のタチウオであったのだ。
このタチウオを前身と後身に分ける。前身の背の一部分を刺身にする。これがまことにいい味わいである。何と言っても脂に甘味がある。
後身は三枚に卸して一塩、これを甘酢に漬け込む。時期のミョウガ、生姜のせん切りを加えて、少々見た目は野暮ったいけど、まことに酒の肴にピッタリの一品。ちなみに甘酢に一晩漬け込んだ方が味がしみてうまかった。
また前身の大方はタチウオ料理の王道、ムニエルに、真ん中の骨の部分は塩をして障子焼きにする。
この三品で梅錦を不覚にも飲み過ぎてしまった。
市場魚貝類図鑑のタチウオへ
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