オオミゾガイを青田買い01

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 オオミゾガイというのは、市場でときどき見かけるもので、そんなに珍しくもないだろうというのに、ほとんど一般に知られていない、ボクの大好きな二枚貝である。これがどんな漁法でとられているのか、主要な産地はどこなのかが長い間わからなかった。それが徐々にわかってきたのである。

 9月25日に八王子魚市場で見つけた荷(発泡の箱)には『マルゼン食品』とあって電話番号がある。地名がないので致し方なく電話をかけてみる。これが苫小牧の業者さんであった。苫小牧といったら「ほっきがい(ウバガイ)」の大産地である。電話の方に「オオミゾガイは苫小牧のどのあたりで、どのような漁であがっているか」問うと、斜里からの陸送品であるという。それで斜里漁協に電話すると確かに今現在とれているのが判明した。
 オオミゾガイをどのような漁法でとっているのか聞くと、「ほっき漁」のときに混ざって揚がってくるのであるという。「ほっきがい(ウバガイ)」は船でケタ網というのを引いてとる。言うなれば底引き網漁である。当然、「ほっきがい」以外にも魚も他の貝類もとれる。貝では「白がい(サラガイの仲間)」とオオミゾガイがとれている。すなわち最近市場でも定番的な二枚貝となっている「白がい(アラスジサラガイ、サラガイ)」とオオミゾガイは「ほっき漁」の副産物だったのだ。
 この「白がい」、オオミゾガイが未だに一般にあまり知られず、値段も安いままというのが面白い。確かにオオミゾガイの入荷は少なく、知名度が低いのが当たり前としても「白がい」など市場に毎日のように入荷してきているのだ。

 ここで「ほっきがい」で有名な苫小牧の業者が、斜里からオオミゾガイを買い取っている理由がわかってくる。斜里は北海道でもオホーツク海に面する町で関東からすると遠い。例えば斜里の名産品である「きんき(キチジ)」や「ほっきがい(ウバガイ)」という人気のある値段の高い水産物なら出荷できるが、知名度の低い値段の安い貝を扱うには経費がかかりすぎる。そこで「ほっき漁」の副産物である「白がい」やオオミゾガイをいち早く出荷していた苫小牧まで運んでいるのではないだろうか? ちなみに苫小牧(樽前)、室蘭の「ほっきがい」は築地などでも上物として認知されている。

 さて、ここで書いておきたいのは、刺身にしてオオミゾガイが「ほっきがい」より落ちるかという話。詳しくは02に書くが、ボクは味わいの良さは同等、むしろオオミゾの方が上品ではないかと思っている。市場では「ほっきがい」がキロ1000円前後、オオミゾガイも1000円前後で値段も同じ。と言うことはオオミゾガイ、そんなに安くないでしょう? と思われる方は素人なのである。「ほっきがい」の貝殻は重く、ワタが多い。オオミゾガイの貝殻は薄く、ワタが少ない。また刺身に出来る部分が水管と足なので全体の重さの比率からして多いのである。

 この市場で見つけた無名の二枚貝、こんな存在を見つけるのが市場歩きの醍醐味のひとつだ。そして市場の達人は魚貝類の青田買いに勤しむのである。

●マルゼン食品のホームページへ
http://www.interq.or.jp/world/maruzen/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑のオオミゾガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/sonotamarusudare/oomizogai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑のウバガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/bakagai/ubagai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑のサラガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/saragai.html


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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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このページは、管理人が2007年9月28日 10:45に書いたブログ記事です。

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