2007年9月11日昭島市「三多摩綜合食品卸売市場」案内

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 東京都西部には青果をのぞくと八王子に公設市場1、民営市場2、府中に民営市場1、東久留米に民営1、昭島市に民営1の合計6つの市場がある。どの市場も多くの店舗数をほこり、また新鮮な水産物、農産物、多彩な食材を手に入れることが出来る。まさに食いしん坊には無視できない施設である。
 この市場群のなかで東久留米と昭島にはまだ一度も行っていない。関東の市場総てを踏破したいと思っているので、この足元にある市場は出来るだけ早く見ておきたいものなのである。
 そこで今回は通称昭島市場である「三多摩綜合食品卸売市場」に行ってみる。日野市からは多摩川を渡るとそこは既に昭島市である。すなわち多摩川を挟んで隣接する市のひとつなのだ。我が家を7時半に出て「三多摩綜合食品卸売市場」に到着したのが8時過ぎであるから非常に近い。

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 昭島市の「三多摩綜合食品卸売市場」の開設は1957年と古い。1970年代に開設された八王子綜合卸売センター、八王子総合卸売協同組合などと比べて一回り以上年代が古い。その分、歴史のある店舗もあり、昭和の懐かしい香りもそこここに残る。たぶん団塊の世代や、40歳以上の方ならこの市場の風情だけでも感動できるはずだ。建物は長方形である。そこに長い通路が二本、横の通路が三本はしっている。
 八王子の市場に通っていると昭島の市場に関してはいろいろ情報が入ってくる。例えば昭島と八王子の両方に店舗を持つ仲卸もあるし、また両方の市場を利用する飲食店も少なくない。ただしその情報のどれもが「建物が古いよ」とか「魚屋はダメだな」とかいった短絡的なものばかり。
 今回尋ねてみて、「建物は古いよ」というのは古きよく昭和の香りが残ると言うことだし、鮮魚が弱いといっても、さすがにスーパーなどからすると遙かに優れた品揃えであるのがわかった。

 さて青梅線の線路をくぐってほどなく「三多摩綜合食品卸売市場」は住宅街とも工場地帯とも判然としない交差点脇に突然見えてきた。その二本の「三多摩卸売市場」の看板はなかなか目立つ。とにかく駐車場にクルマを止めて、場内に入る。その場内が薄暗い。でもこの薄暗さに浮かぶ店舗がどこか懐かしい。五十路オヤジがワクワクするものばかりだ。

 まず看板のある方から細長い建物に入る。「豊明」という水産物の店があったが鮮魚は少ない。海苔や乾物、食材を売る店が何軒も並んでいる。その間に雑貨店、また海苔、豆腐店は八王子総合卸売協同組合と同じ系列のチェーン店。中華材料の専門店がある。これは珍しいのではないか。

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 そして「岡善」は築地を本店とする魚屋ということか? この通路の端っこに鮮魚店マグロ屋、塩干などを置く店が並んでいる。あえて出色の店はないがスーパーなどよりも鮮度的にも値段!からしても優れている。
 行き止まりとなって、もう一つの通路を歩く、どちらかというと業務用ではないかという肉屋があって、その先に大きな活気のある八百屋がある。

「三多摩綜合食品卸売市場」の店で面白いのが看板である。軒の上に丸くアールを描いて、大きな単純な文字で屋号や売り物が書かれている。これが古くかすれてきていて、この市場の年輪ともなっている。たぶん40代以上にはこの看板を見るだけでも多大な価値を見いだすだろう。懐かしさがこみ上げてくるだろう。若い世代には逆に面白いと感じるところもありそうである。この情緒、風景を長く残しておいて欲しいものだ。

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 撮影しながら歩いていると「渡辺(物産)」と書かれたマグロ屋さんから、「どうして写真をとってるの」と聞かれる。「市場を撮影するのが趣味なんです。この市場は古くていいですね」と言うと、
「そりゃ古いことではよそには負けないね。昭和38年くらいかな。古くなってこの建物もあと3年くらいしか持たないっていうことで立て直すんだよ」

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 この懐かしい建物も後3年なのだろうか? このまま残せるといいだろうに、残念だ。「渡辺物産」では冷凍マグロやサケなどが格安で売られてた。そしてその真ん前にあるのが「嘉根保商店」。日本橋人形町に本店のある海苔屋さんである。「今は貴重な浅草のたねを有明の豊かな海で育てました」という板海苔。これはいったいいかなる意味なのだろうか? 隅田川にアマノリが今でも残っていると言うこと? なかなか面白いものなので写真にとる。

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 お茶の「繁田圓」というのがあって、左手に肉屋。どうやら「三タマ食品」という店がいくつもあるようだ。その隣にうまそうな揚げ物を売っている「星野食品」。思わず、若鶏の唐揚げ(これは若鶏の胸肉だろうかいちまんまるのまま揚げてある)、イカフライを買う。
 そして魚屋さんがあって出口だ。

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 この市場の特徴は中華材料、海苔お茶、かつお節など乾物や食材などだろうか、塩干ものも多い。この豊富さは八王子などにないものである。また肉も安いし、惣菜なども魅力的だ。ただしこの市場ならではの、というものは皆無である。ここに昭島市で作られた納豆や加工品がたくさん並んでいたら楽しいだろうな。そしてやはり鮮魚店は少ない。また品揃えも多いとは言えないようだ。でも鮮度的には他の小売店、スーパーなどよりも優れているし、値段も安い。まず鮮魚をこの市場で買ったなら、近所の大型店舗などで買う気は起こらないだろう。またマグロなどは市場ならではの品揃えだ。昭島市の「三多摩綜合食品卸売市場」はこの豊富な食材から食に感心のある人には素晴らしい市場のひとつだと思える。

●この市場の風情のよさ、また古くて懐かしいことから写真を撮影して回ったわけだが、途中にある「メルヘン」というパンなどを売る店の人から「市場内は撮影禁止だ」と注意された。これが本当ならまことにイヤだな。例えば築地にしろ足立にしろ、最近の市場は観光地化してきている。ほとんど総ての訪問者がカメラを抱えている。それが問題になったとも聞かない。またほとんど総ての市場で一般客が市場のよさを味わうのに好意的だ。当然カメラ撮影も日常のことだ。それが出来ないと言うのは残念でならない。これが「三多摩綜合食品卸売市場」で決められているなら是非もと項目を削除していただきたい。各地の市場で一般客が市場を見に来ることで大きな利益を得ているはずだ。その点も忘れるべきではないと思う。

三多摩綜合食品卸売市場 東京都昭島市武蔵野5-5-1
http://www.santama.jp/index.html


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このページは、管理人が2007年9月12日 11:30に書いたブログ記事です。

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