2007年9月17日(敬老の日)の沼津魚市場便り02

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 さて競り場から沼津名物飲食店街「にし与」に向かう短い距離の間に横殴りの雨に濡れそぼる。早朝なのに観光客もちらほらと見える。そのさしている赤い傘が印象的だ。ついでにトイレまでまささんと走る間にも濡れる濡れる。本日は気温が高く、曇り時々驟雨、湿度100パーセントではないかという不思議な天候である。いつもの事ながら競り場にいるとほとんど天気のことなど忘れている。

 そう言えば競り場で滋愛丸の船長と会ったのを思い出す。これは本日(17日)漁はお休みということにほかならない。ちなみに志下、戸田の底引き網は深夜2時か3時出船、夕方にもどって船上で選別した魚を大型バケツに氷詰め。それを翌日、競り場に運ぶというもの。だから明日(18日)、底引きの魚はないということだ。台風の影響でしらす船が出られなかったことといい、自然相手の漁というものの大変さがわかる。
 これがわかっていないのが政治家や行政者ではないだろうか? ボクは農林水産省に内定した人は必ず2年だけ水産農業の体験しなければならないという法律を作りたい。話は横道にそれるが安倍内閣で選ばれた赤城農林水産大臣は絆創膏だけで有名であるが、それ以前の以前の段階で農業とも水産業とも密着しているようには思えない。漁師さんなどの大変さを知るにつけて、あんないかがわしいヤカラを選ぶこと自体、安倍ちゃんはバカだったとしか言いようがない。

 閑話休題。
 早朝からの競り場見物でボクなど疲労はピークに達している。「にし与」の自動ドアがガラリと開くと、そこにいたのが尻高鰤さんなのである。うまそうなアジフライと生ビールがカウンターに並んでいる。いったいこれ何杯目のジョッキだろう。
 ちょっと戸惑ったのが、「にし与」に座敷があるものだと思いこんでいたこと。疲れ果てて足を投げ出したくなっていたのに、長靴そのままでテーブル席というのはちょっと辛いものであった。

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 ここで帰りの運転を免れている人たちは当然生ビール。やがらのやがらさんもJasminさんもこちらの我慢している辛さを無視してうまそうに飲んでいるのが大人げなく思う。その上、尻高鰤さんの「こんどはにごり酒」にはうらやましいよりも憎たらしい。「尻高鰤のバッカヤロウ!」。沼津の飯塚さんもいっぱいやるのだろうと思っていたら本日は大人しい。どうやら体調を崩していたらしい。

 壁に貼られた品書きからイワシの刺身(カタクチイワシ)、メダイの刺身と銘々定食を注文する。ボクは「沼津定食」というフライと刺身を取り合わせたもの。久しぶりの「にし与」の定食だが、やはりアジフライの旨さは傑出している。
 刺身などが来たときJasminさんからかなり強烈なご不満が出る。
「ぜんぜん地魚がない」
 ここで「にし与」の弁護をさせてもらうと、この店、地元にあってはうまい定食を出す店としては定評がある。その上、当日は連休明けで魚がない日なのだ。ただし普段でも目の前にあった底引き、また定置網などでとれた魚を食べたいとなると確かに弱い気がする。これは「にし与」ならずとも、沼津魚市場周辺の寿司屋、定食屋などでも必ずしも底引き網の魚を重要視していない、という現実がある。だいたい「にし与」よりも遙かに保守的な品揃えの店も多い。このあたりが沼津魚市場周辺の飲食店の弱点である。また、この弱点を作り出しているのは観光客の無知というのを忘れてはならない。ちなみにボクは「にし与」が大好きである。なにしろここのアジフライ、東京でどの店で食べるよりも何倍もうまいと思う。

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 楽しい宴の最中、今回参加のMさんの姿が見あたらないのを思い出す。しかも「にし与」はケータイ圏外なのだ。外に出てケータイを入れるが留守電となっていた。

 競り場に帰り着くと菊地利雄さんが競り落とした魚貝類が山となっている。
 これに佐政水産の青木修一さんにお願いした魚を取りに行く。佐政水産では青木さん、中村君が忙しそうに魚を出す準備と引き渡しに追われていた。今回のアラもソコアマダイモドキもベニテグリ類も安くて助かった。青木さん毎回ありがとう!

 競り落としたのは、しまえび(ヒカリチヒロエビ)、赤えび(ツノナガチヒロエビ)、ボタンエビ、のどくろ(チゴダラ)、ごそ(ハシキンメ)、カゴカキダイ、アラ、ソコアマダイなどなど。その上、菊地利雄さんから定置網の小アジをたんといただいた。
 とにかく「これ欲しい人」、「はーい」と手を上げてどんどん分けていく。いいものを手に入れた人もダメだった人も、なんだか幸せそうだから面白い。今回の超目玉であるソコアマダイ(値段は秘密に)は、まささんがジャンケン勝ち。
 今回の魚貝類に関しては、ほとんど利潤無しで競り落としてくれた菊地利雄さんに、返す返すもお礼を申し上げたい。その上、場所まで占領してたっぷり楽しませてくれた。考えてみれば沼津の魚貝類を調べられるのも菊地さんのお陰である。今回改めてそのありがたさが身にしみた。

 午前10時近くに解散となる。みんなお土産を持って楽しそうに沼津を後にする。

 帰路の東名、国道はガラガラだった。ここで家族へのお土産がないことに気づき。ヒモマキバイさんお勧めの町田のアイスクリーム屋に立ち寄る。この人、幸せなのはいいとしても五十路を前にしてアイスクリームに目がないと言うのも変な人だね。

 帰宅は昼過ぎ。
 とにかく大急ぎで甲殻類の撮影。4時に少々うたた寝。またまたツバメコノシロの同定、アシロ科のまったく検索不能の魚などがあって、いつの間にか夕食時となる。

 夕食は「ニギス(これも同定のために持ち帰ったもの。やはりカゴシマニギスが混ざっていた)と赤えび(ツノナガチヒロエビ)、しまえび(ヒカリチヒロエビ)の漁師風煮つけ」、ごそ(ハシキンメ)と小アジの刺身、赤ごち(ベニテグリ)の天ぷら、かさご(ユメカサゴ)の塩焼き。子供用にハンバーグなどを作る。

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ニギスの漁師風煮つけ。旨味を出すために「赤えび(ツノナガチヒロエビ)」、「しまえび(ヒカリチヒロエビ)」を加えている。味は濃い甘辛

 ニギスの煮つけ、小アジの刺身がうまかった。その上、久しぶりのベニテグリの天ぷら。ベニテグリは同定のためのものだったが、やはり探していたルソンベニテグリがいたのも本日のツキを思わせる。ルソンベニテグリとベニテグリの味比べは、ほとんど差がなかった。ルソンベニテグリの方が小振りなのでベニテグリの勝ちかな。

 午後10時前に本日2度目のシャワーを浴びてダウン。


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コメント(6)

もう一度沼津で写してきた映像を確認したのですが、色が他のベニテグリより僅かに薄いのがルソンベニテグリですか?

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にし与のフライと刺身の定食の名前は「魚河岸定食」じゃなかったでしたっけ?

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このサイトでメニューが確認できます。

http://homepage2.nifty.com/koaji/shokujitokoro/numazu/nishiyo.htm

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そうでした。訂正しようかな?

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ぼうずコンニャクさんの日記本文だけでは皆さんが相当な誤解をされるのではないかと考えまして補足いたします。

実は当日午前4時半ころ、18番柱のところで、「まだ競りは始まらないし、早くから来て疲れたからどこか開いてない?食べるものはなくてもいいよ、座って飲めるところ。人数は7、8人」なんて、某氏が菊地さんに聞いている。「お勧めは“にし与”さんなんだけど、まだやっていないよ。6時からだから。でも聞いてみようか?」とあくまでも優しい菊地さん。某氏は「他はどうなの?5時からでもいいよ。食べ物なくてもいいから」と早期開店に固執する。そこへ“にし与”の関係者(後で思えば主人だったような)が通りかかり、菊地さんが交渉してくれるが、結局準備の都合で開店は早まらず、関係者はお店の方角へ。すると某氏は「じゃあ後で」的に手を振っていた。

私としては、あのようなやり取りの後では「6時になったら店に伺う」「6時頃7,8人来る」がお互いの了解事だと思っていたので、その心積もりでいた。しかし、その6時になっても某氏を始め一行は競り場(魚が並んでいる場所)を動かない。刻一刻と時間は過ぎ、「約束はどうすんだよ。よそ者は不義理な奴だと思われてしまうじゃないか」と私は気が急く。そして、ついに「とりあえず店の位置の確認と、どんな感じか見てくるか」と、菊地さんに教えてもらっていた方角に大通りを渡ると突然のにわか雨。屋根つき商店街を抜けて“にし与”の前(ヒモマキバイさん紹介のサイト参照)に立つと「サッポロ生ビール」(注:私の大の嗜好品)のポスターが目に入る。「外は雨、内はサッポロ生ビール。ここは入るしかない。義を果たす意味でも」と、意を決して入店しました。
さて、生ビールを注文し、「皆より先に一人だけ飯は食えないし、つまみだな」と、何を頼もうかと考えメニュー(ヒモマキバイさん紹介のサイト参照)を見渡し、相当悩みました。で、結局アジフライを単品で頼みました。その理由は、メニュー(当日もほぼこの内容でした)から想像してみてください。

そして、2杯目が半分位になった頃ようやく、ご一行様が来店し、やっと私の肩の荷が下りたという訳であります。

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尻高鰤さん、ご配慮痛み入ります。でも「にし与」のアジフライと生ビールはその内試してみたいですね。それと11月になる前に日曜会をもう一度だけやりましょう。次回はもっと軽い、短い時間のものを。

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このページは、管理人が2007年9月20日 08:05に書いたブログ記事です。

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