サケの考現学18 ベニザケはすべて天然

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 最近「塩鮭」を食べているだろうか? 多くの方が「食べている」もしくは「頻繁に食べている」と答えるだろう。でもそれは「塩鮭」であって「塩サケ」ではないというのをご存じだろうか?
 コンビニなどで材料に「塩鮭」と表示している。これは困ったもので、あえて言うと適切ではない。この表記では養殖ものか天然ものかもわからず、ましてや食べている魚の種類がわからない。
「塩鮭」といったら我が国古来よりの「白鮭」すなわち標準和名のサケと思いがちだ。ところがコンビニやお弁当の材料に標準和名のサケが使われていることはそんなに多くない。最近の傾向で言うとチリからの養殖ギンザケ、養殖サーモントラウト(もしくはトラウトサーモン。種としてはニジマス)が多く、ベニザケ、サケがそれに次ぐ。面白いのは個人営業の魚屋でもサケ離れが進んでいるのだ。
 知り合いの魚屋をつかまえて「店に置いている塩鮭を見せてくれ」と今春数名の店先を見て回った。すると総ての店舗にあったのはギンザケ、サーモントラウトであり、少ないながらベニザケとカラフトマス(三多摩地区と山梨は昔からカラフトマスを好む地域なのだ)があった。そしてそこにはサケはなかったのだ。これはサケ離れというよりも「脂嗜好」がますます進んでいるために違いない。

 我が家では養殖ものを日常に食べるのに少々躊躇するものがある。そこで市場で「時鮭(サケ 天然)」、「秋鮭(サケ 天然)」、「紅鮭(ベニザケ 天然)」を買っている。サケとベニザケの共通点は未だ養殖されていないということ。ただし「秋鮭」、「時鮭」は山漬けだが、ベニザケは塩水に漬けたものという違いがある。この違いがどうして生まれるのか不明である。ボクはどちらかというと塩水で立て塩にするよりも塩の中に埋め込んで熟成したものを好む。きっとベニザケにも塩漬けのものがあるんだろうけど、探す余裕がない。

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 さて今回買ったのはアラスカ州ブリストル湾で刺し網でとったもの。アラスカ産でも産卵回遊で集まったものを巻き網でとるもの。刺し網でとるもの。群の小さい時期に小型船で刺し網でとるものなど、丹念に調べると良し悪し、値段の高下がある。残念ながら我が家で買うものはメーカーで選んでいるだけ、しかも狭い八王子の市場で置いてある中での選択なので、きっともっといいベニザケの塩鮭があるんだろうね。ちなみに「時鮭」の値段はキロ当たり(頭つき1匹単位で買う)1300円前後、「秋鮭」(頭つき1匹単位で買う)が700円〜850円ほどである。
 ベニザケは半身売りでキロ当たり1300円、これが1.26キロだから1625円となる。ベニザケを選ぶかサケを選ぶかというのはそのときの冷凍庫の空く具合で決める。サケはなんといっても1匹単位なのでかさばるのだ。
 持ち帰ったら厚さ2センチほどに切り分ける。スーパーなどよりも厚めだろう。ベニザケの片身で端切れを出しても12〜13切れはとれる。だから1切れ150円くらいだろうか? このクラスだとスーパーではもっと薄目で1切れ250円くらいするから市場で買う方が品質的にも価格的にも得だ。

 ベニザケの味わいは脂はそこそこで、そこからくる甘味は薄く、むしろ魚本来の旨味成分が堪能できる。塩水仕立てなので熟成による複雑な旨味に欠けるが、我が家の子供などにはむしろ好評である。

 市場の活用法としても、また天然もの志向からもこの半身1本買いというのは賢いやり方ではないだろうか? これも市場愛好者ぼうずコンニャクの慎ましやかな提案である。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ベニザケ
http://www.zukan-bouz.com/sake/benizake/benizake.html
エドノフーズ
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このページは、管理人が2007年10月24日 08:50に書いたブログ記事です。

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