スルメイカのゲソは重宝

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「スルメイカというのは捨てるところがない」と、なんども繰り返し、くどいほど書いていきたい。なかでも重宝なのが下足(げそ)である。げそは足なのか手なのかというと、イカの場合、「手」だと言うのが正しいだろう。なぜならばイカはタコのように歩くのではなく、泳ぐのだから。
「手」である証拠にスルメイカは触手(獲物を絡め取る長く伸びる手)で獲物をつかまえると、残り8本の手でそれを確保して、締め付けて頭部を口に持ってくる。魚にとって頭は急所だから、そこをカラストンビでぐさりと一撃してトドメをさす。すなわちヘッドロックをかけるプロレスラーといった感じだろうか。とうぜん、この手はすこぶるつきに筋肉質。そしてその筋肉の動きをささえるのがアデニール酸であって、その旨味もここにたっぷりあるということに他ならない。

 我が家では、これを出汁が代わりにして里芋やジャガイモを煮る。このスルメイカで根菜類を煮るというのは東京都西部、昔の三多摩地区での郷土料理のひとつだ。例えば、これが山間部秋山村などに行くと祭のときのご馳走ともなるのだ。

 今回は昆布だしをとり、やや控えめにかつお節を入れて出汁をとる。これに砂糖、酒、醤油で味をつけて、げそ、竹輪麩(ちくわぶ)、里芋、大根をたく。残念ながら彩りのニンジンを冷蔵庫で探したが見つからなかった。色気に欠けるのは、お総菜なのでお許し願いたい。
 まっさきに無くなるのはスルメイカの旨味をたっぷり含んだ竹輪麩(ちくわぶ)である。これは八王子総合卸売センター『土谷食品』のお父さんとお母さんが作ったばかりの未包装のもの。我が家には竹輪麩が大好きな姫がいるので、おでん以外にもいろんな料理に登場する。そしてもっとも姫が愛しているのがゲソとの煮物なのである。

 この「ゲソ、根菜類、竹輪麩の煮物」これから寒くなるに従い、食卓への登場頻度が増してくる。そして姫があっという間に竹輪麩(ちくわぶ)、げそを食べ尽くして、最後にお父さんは里芋と大根でやや旨くちのぬる燗酒を飲むことになる。
 そう言えば、外から聞こえてくる虫の音が、外来種であるアオマツムシからエンマコオロギやカネタタキに代わってきたのをお気づきだろうか? やっとこの国本来の秋の風情となってきたのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/surumeika.html
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


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コメント(2)

この時期、スーパー等に出ているスルメイカもなかなかおいしくなってきました。
生でも火を通しても食べられますが、私の好みは書かれているような煮物ですね。(特にゲソ)
時期的に煮物が良い時期にスルメも旬を迎えることも影響しているのかも知れません。
値段的にも出汁に使っても惜しくない値段で出回りますし本当に重宝します。
ところで「・・・やや旨く血のぬる燗酒・・・」は「やや甘口(または旨口)のぬる燗酒」ですね。
単純な変換ミスですけど、妙な想像をしてしまったもので・・・。

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あ2さん、間違いのご指摘ありがとうございます。いつまで経っても誤変換ばかりしてます。

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このページは、管理人が2007年10月 3日 08:33に書いたブログ記事です。

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