主に西日本の料理に「いり焼き」というのがある。これは関東の方に説明すると薄くても濃くてもいいのだけれど「すき焼きのしたじのような味つけの汁で魚を煮て食べる」というもの。
すき焼きの下地は「酒、砂糖、醤油、水」、割合はお好みでとなる。我が家では「水4/砂糖1/酒1」をベースにして合わせ、鍋に入れて煮立たせてから水を足したり、酒、砂糖を足したりする。濃いめの下地を作っておき薄めるのが基本。
例えば島根県、瀬戸内海などの「いり焼き」はかなり薄目で野菜も魚もどんどん放り込んで煮てしまう。対するに泉南(大阪)では、やや濃いめの下地で玉ねぎを先に放り込んだところにハモをそれこそ「ちりり」と軽く煮て食べる。今回の話題からはそれるが大阪では初夏に「鱧がとれると泉南玉ねぎがでる」ということわざがある。泉南地方はハモの産地でもあり、また玉ねぎの産地としても有名なのだ。10月末になってまだぼちぼち名残のハモがあがる。ハモのいり焼きはまだまだ楽しめそうだ。これがもの凄くうまい。また魚はハモ、アナゴ、マサバ、ゴマサバ、マグロ類、マイワシ、マダイなどいろんなものが利用できる。ときにアサリやホタテ、エビなどもいい。
さて今回は旬の小羽イワシを使い、やり方は大阪泉南方式でいく。そして下地は濃いめ。材料は基本的には玉ねぎと小羽イワシとする。これは我が家の朝ご飯に作ったもの。「いり焼き」はご飯にも合うのである。
ときに酒の肴に楽しんでいても、子供が脇からどんどん箸を伸ばしてくる。まあ甘辛い味わいは老若男女すきなんだろうな。
子供達の朝ご飯のおかずなのだからやや甘めの下地、煮立ったらまずは玉ねぎを入れる。そして玉ねぎの上にマイワシの身をのせていくのだ。のせたイワシは好みの煮え加減になったら銘々がとる。この小羽イワシが適度の脂がのっており、口の中にいれると適度にほどけてくる。このほろっとほどけるときに砂糖ではなく脂から来る甘味と、強いイワシの旨味が心地よいのだな。余韻が残る。
ご飯にのせてふはふはと食べて、最後に玉ねぎでまたご飯をかき込む。大人には山椒を薬味としてお勧めする。
さてこれがイワシ三題のその一である。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マイワシへ
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