一色の堀さんから大きなスズハモが送られてきた。カライワシを見つけていた堀さんに、その個体をいただきたいとお願いしたら、「海老で鯛を釣る」の例えじゃないけど「カライワシに鱧が付いてきた」といううれしい顛末となった。
このハモは鮮度的にも素晴らしいもの。まだ死後硬直の最中にあり、身が硬い。ハモの旬は産卵期と重なり、6、7、8月の夏。もうそろそろ冬の足音が聞こえてくる頃となって、味の方はいかがなものかと興味津々でもある。
1キロを遙かに超えた立派なハモであり、我が家でいちばん大きな70センチのまな板を出す。これでも尾の方が出てしまう、そんな大鱧なのだ。ちなみに意外なことにハモは大きくても大味ということはない。
これを腹から開いて骨切りをする。後はいかに料理するかであるが、子供達に人気があるのが、一に唐揚げ、二に塩焼きだ。今時、塩焼きに人気があるのは不思議に思えるかも知れないが、我が家ではウナギ目魚類の総てが塩焼きにして好評なのである。
そして底冷えのする夜なので「鱧ちり」。当然ながら卵巣は情けなくしぼみきり、赤。でも腸管が白く、肝や心臓もきれいだ。この内臓もうまいのできれいに掃除する。
まず出来上がったのは唐揚げ、そして塩焼きは焼き台に乗っている。姫がときどき覗きに来るのは、皮目がきつね色に変わってきているのを観察しているらしい。
そして「鱧ちり」用に骨切りした湯に落としては、氷水にとる。当然、内臓も忘れずに。
唐揚げは、ハモ自体の旨味と言うよりも香ばしさが命。とにかく揚げたてを食卓に出す。ビール片手に唐揚げを楽しみながら、塩焼きの加減をみる。土鍋には昆布と湯通しし流水でよく洗った中骨。だしが出たら取りだして、酒塩。
ハモの塩焼きはなんといっても皮の旨さに尽きる。この皮は香ばしく焼いても旨味があり、時季はずれのハモだというのに脂がのって身が柔らかく、甘味がある。塩焼きがあまりに好評であったので、もう一枚追加して焼く。
そして「鱧ちり」。これはじっくりと酒を片手に。だし汁にハモの身を入れると、フワリと脂の玉が浮いてくる。やはり、このハモは脂がのっているのだ。どうやら産卵後、冬を迎えるにあたってたっぷりと餌をくったようだ。ほどよく煮えたものを口に入れると、ホロリとほどける、甘味が広がる。
これはとても「贅沢な味」ではないだろうか? なんだか鍋をつつきながら豊かな気分に浸れる。
そう言えば11月下旬のハモは初めてかも知れない。過去のデータを調べてみなければわからないが、この脂ののりに新鮮な驚きを感じる。
うまいハモをお送りくださった掘淳さんに感謝。そしてこれから寒い時期となって一色漁港通いも大変であろうと思われる。くれぐれもお身体にご自愛を。
掘さんの「一色さかな村にようこそ」(愛知県幡豆郡一色町)
http://www.geocities.jp/gtsfp998/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハモへ
http://www.zukan-bouz.com/unagi/hamo/hamo.html
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ゴマサバの柚しめ
ハモ鍋は最高ですよ。
漁師の言葉に「土用にうまいものは、寒にもうまい。」と、あります。ハモはもちろんですが、アナゴも寒にうまいですよ。
特に、冬のハモは単価が安くてうまい。あまり知られると、単価が高くなるかも・・・。
私は徳島の漁協に勤めていますが、徳島はハモの漁獲日本一(金額ベース)です。
今年は夏に豊漁だったためか、今頃になっても、まだハモが揚がっています。この冬は、ハモ鍋食べ放題かも。
なかよしカタツムリさん、はじめまして。徳島のハモは京都などでも高値がつくそうですね。次期には徳島から取り寄せて食べてみようと思っています。
また徳島は故郷なのでなかよしカタツムリさんの漁協にもお尋ねしたいですね。
ウチの組合には一度訪問されてますよ。徳島市津田町にある徳島市漁協です。県庁のS氏とともにおいでになった時です。今度来られたら、ぜひ声をお掛けください。このサイトには本当にお世話になっています。少しでもご恩返しができたらと思っています。
そうでしたか! 津田漁港にいたんですね。声をかけて頂けたらうれしかったのですけど。
また徳島の魚貝類は関東ではあまり見かけません。うまい魚があれだけとれているのですから、関東にもどんどん送ってきてほしいですね。
その内、また立ち寄ります。よろしくお願いします。