北海道厚岸・厚岸湖の小振りのマガキを初めて見たのは3,4年前だっただろうか、市場の貝担当者と試食して「うまいねー」と顔を見合わせたのが昨日のことのように思い出される。それから厚岸のマガキは毎年のように入荷してくるようになった。そして今や築地を始め関東の市場で見ない日はないほどに人気がある。
今回買った厚岸のマガキは他の産地から比べると、かなり小振りである。殻ごと量ると一個70グラム前後。例えば岩手県産でできるだけ小さいのを選んでも100グラム以上あるので、いかに小さいかがわかるはずだ。薄っぺらい殻を剥いても、あれれというほどに痩せている。これは広島県、岡山県、宮城県産などの盛りあがるほどに膨らんだ身とは対照的に思える。
でも、このやや痩せ気味の身をおもむろに口に放り込んだとき、そこからわき出す硬くしまった食感、そして濃厚で、しかも後口のいいうまさにビックリするだろう。それこそこのカキの食卓を囲む人たちが顔を見合わせるほどにうまいものである。
マガキの味わいは、どこかグラマラスなものだ。旨味にボリュームがあって、例えば一種の渋みをともなって口の中で膨らんできて、その数個で旨味中枢も食欲も満たされてしまう。ところが厚岸だけではなく北海道のカキの味わいというのは、どこか鋭角的で爽やかな後味で、いくら食べても、食べ飽きない。この双方ともボクとしては好きなのだけど、味の印象は厚岸のマガキが強く残る。
だから冬になると毎日のように食べるマガキに適当に「厚岸産を食べる」を挟んでいる、2,3日あけて、また厚岸という風に。ここにサロマ湖産があるともっといいのだけど、関東で見る限り、北のマガキは厚岸がいちばん手に入れやすい。
そして個人的な話になるが今週は幸不幸とりまぜていろいろありすぎた。また年末にかけての慌ただしさも早々始まっている。疲れはたまるばかりで、市場巡りでマガキを手に取る回数が増えている。
そんなときに北の冷たい湖に育つ、マガキを食べるというのは心癒される気がするのはボクだけだろうか? 北海道ではマガキの育ち方もとても遅く、この小振りのマガキですら幾年も冷たい氷下で沈んでいたのだ。この冷たいが、栄養分にとんだ北の湖のマガキ、風邪気味のボクにも元気をくれそうに思う。違うかな?
厚岸漁業協同組合
http://www.a-uroko.or.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/magaki.html
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