小虎で作る一杯分の鰭酒

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 フグ目フグ科トラフグ属の魚が一般にいわれるところの「河豚」である。総てのトラフグ属にテトロドトキシン、青酸カリの千倍ほどの猛毒が含まれる。ただし筋肉(所謂身)はほとんどのフグが無毒か、少量の毒しか持っていない。だから身を食べる分には安全なのであるが、ここで問題なのが多くのトラフグ属の皮に強い毒があるということ。この皮には鰭(ひれ)も含まれるわけで、残念ながら鰭酒(ひれざけ)として使えるフグは少ない。
 その少ない中の一種類がトラフグであり、よく「ひれ酒用の鰭」として売られているものはシマフグだったりする。世間に出回る安いフグであるショウサイフグ、マフグなどはともに皮に毒があるので注意が必要だ。
 せっかくトラフグを手に入れたのなら鰭(ひれ)は有効に使いたい。
 フグをさばくとき、最初に鰭を切り取とる。切り取った鰭は発泡スチロールに貼り付けて、干す。よく干し上げたいので晴天の日、二日ほど干した。

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 これを備長炭でこんがり、ところどころ焦がして焼き上げる。焼き上げながら安い本醸造を沸き上がるほどの熱燗にする。温めた湯飲みに、焦がした鰭を放り込み。そこに沸騰した酒を注ぎ入れる。そのままフタをして、待つほどもなく、待ち、熱いうちにすする。
 うまい鰭酒を作るコツはしっかりヒレを焼き上げること。日本酒は吟醸系はダメで、純米酒か本醸造を使うこと。ボクがいちばんおすすめなのは島根県の「王禄 本醸造」。これを沸騰するまで熱する。

「アチチ」と言いながら、そーっとすする、その唇全体が熱く、そして舌先からジワリと旨味が広がってきて、そこから口腔の上の方にアルコール分がはい上がる。
 トラフグには腹ビレがない。だから胸ビレ、背ビレ、尻ビレ、尾ビレ、5つの鰭が一匹分だ。小虎なのでこの鰭全部使って一杯の鰭酒とした。それも湯飲みを持つ手がヒリヒリとするほど熱燗で、そこにトラフグの鰭の香ばしい香りがツーンとくる。そして深い旨味が口全体、胃の腑までしみ通る。

 さて、トラフグの鰭酒のうまさは、寒さとともに増してくる。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、トラフグへ
http://www.zukan-bouz.com/fygu/fugu/torafugu/torafugu.html


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このページは、管理人が2007年12月19日 07:57に書いたブログ記事です。

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