八王子総合卸売センター『総市』は普段は卸しに徹しており、なかなか一般客が寄りつけない雰囲気を持っている。それが土曜日にはガラリと様相を変える。
それこそ店一杯に広げられた魚を、どんどん安くバーゲンするのだ。なにしろもともと大口相手の店であるから価格は信じられないほど安い。またそんなに大衆魚ばかりではなく、ときに高級魚というものが混ざっているからうれしいね。
この日も特売の目玉は宮城県からのマサバ、2本で380円というもの。これがなかなか侮れないものなのだが、そのとなりに断然上を行くものが置かれている。同じく宮城県の金華鯖の8本入りである。
「ミノルちゃん(総市鮮魚部部長)、こっちは高いだろう」
念を押すと、
「キロ(あたり)500円だぞ」
5キロばんで8本だから一本500グラム強だろう。実際に支払ったのが600円と少し。1本なんと300円ほどにしかならない。ちなみに冬になると途端にマサバの脂ののりが落ちてくる。だから見た目はちょっとの差でも開いてみると大きいことがある。
これを『総市』で三枚に卸して持ち帰る。
自宅のまな板にのせまして、いろいろ考えて挙げ句に、まずはしめ鯖、塩鯖、船場汁、鯖のいり焼きをつくる。
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一番上のしめ鯖は魚屋で三枚に卸すとともに作り始め、帰り着くや酢でしめてしまう。
中骨と、真ん中に一本の包丁目を入れたのは振り塩。ひとばん寝かせて、船場汁と塩鯖
一番下は皮付きでそぎ切りにして、島根県の郷土料理「サバのいり焼き」にする
これだけ作ると、それこそ3日ほどはマサバ料理が楽しめる。
さて、当日は『総市』で振り塩して、持ち帰るや酢につけてしめ鯖だけは夕方までには完成している。それでしめ鯖の話は割愛する。
このマサバ2本がいったいどんな味覚となって、食卓を賑わすのか、これからマサバ話三題の始まりなのだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マサバへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/saba/saba.html
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オオニベ、ほんまにうまいなー 後の記事 »
マサバ料理三題の一 さばのいり焼き