島根県の漁村などで作られている言うなれば漁師料理。実を言うと、これを初めて知ったのは関西テレビ(サンテレビだったかも。ボクが子供の頃の徳島県での8チャンネル)で見たことに始まる。小学校から異常に料理を作るのが好きだったので、このような「優れているな」という料理は忘れない。
画面には漁師さん数人とタレントさんらしき人物がいる。鍋は普通のもので、水を張っており、酒と砂糖と醤油をドボドボと入れて、野菜とマサバ、カワハギなどを放り込み豪快に食べている。これがうまそうだった。
島根には大人になってから何度か行ったのだが、なかなかこの「いり焼き」には出合えない。
新鮮な魚を醤油味で煮るだけなので、どこにでもありそうだけど、これは飲食店で食べるようなものではないらしい。
さて、漁師さんなどの作り方は、やや醤油辛い汁で魚と野菜を煮るだけというもの。東京に住んでいて、このやり方で作っても、魚の鮮度のせいかもわからないけど、ぜんぜんうまくない。
そんなときに思い出すのが大阪などでの「鱧が出ると泉州玉ねぎが出る」という“鱧すき”という料理。要するに、すき焼きの下地でハモと玉ねぎをたき(ボクの言語は少なからず関西系)ながら食べるのだ。
ようするに「家庭で作るすき焼きを魚に置き換えた」だけの料理。このハモをマサバやサワラなどの背の青い魚にすると、これが非常にうまいのである。
まず汁を作る。これは水6、酒1、味醂1、醤油1、砂糖少々。これを醤油の塩分濃度や、食べるときに子供がいるかどうかなどでどんどん変化させていく。
マサバは三枚に卸して血合い骨を抜き、皮付きのままそぎ切りにする。コツは出来るだけ脂があって鮮度のいいマサバを選ぶことだ。玉ねぎは輪切りでも、なんでもいい。好きなように切る。酒の肴に一人鍋とするなら、あまり大きく切らない方がいい。
いちばん単純な材料はマサバと玉ねぎだが、ここに白菜などの野菜類、キノコ、豆腐などなにを加えてもいい。玉ねぎだけは外せないと考えて欲しい。
鍋に汁を張り、まずは玉ねぎを入れて、それにマサバを乗せるようにする。後は箸でつつきながら自分好みの煮え加減で食べるだけ。
マサバの身に新しい旨さを発見できるはずだ。
ここで肝心なのは玉ねぎはあまり早く食べないことだ。マサバを食べた後の、この甘辛い、魚の旨味を吸った玉ねぎが、どえりゃーうめーのだから。我が家の太郎は、これで三杯飯が食えると豪語しながら、四杯飯を食う。
さて、本場島根の「いり焼き」とはどんなものだろう。島根の旅の日程も決まり、楽しみだなー。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マサバへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/saba/saba.html
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