浜田市食品市場は楽しかった。ここにこそ普段着の浜田の姿があって、また売っているもの総てが楽しいものだらけ。
そんな食品市場ではいくつかの発見をしたのだけど、そのひとつが、「浜田では節分にクジラの炊き込みごはんを作る」というもの。
場内を歩いていると、クジラの黒皮(表面が黒く、舌に真っ白な脂身がある)がやたらに目につく。
「浜田でもクジラはよく食べられているようですね」
なんて一軒の店で黒皮を拍子木に切ったものをパックに入れて売られている。
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くじら飯用に切っているミンククジラの黒皮
この形だと汁にするのだろうと店の人にお聞きすると、
「炊き込みご飯にするんです」
これをトーボさんが
「節分に食べるんですね。クジラの炊き込みご飯は」
黒皮を炊き込むとすると、かなり脂っぽいものとなるだろう。どう想像してもうまいもの、というよりもクジラの臭みしか想像できない。
それでも伝統的に食べられていたのなら、ぜひとも挑戦しなくてはならないのが、ぼうずコンニャクの本能というものだ。
帰宅して、作り方を地元のトーボさんに電話で聞く。あれこれ調べてくれて、それを整理すると。
1 クジラの黒皮は湯通しして、余分な脂分や臭みを抜く。
2 これをゴボウ、ニンジンなど普通炊き込みごはんに使う野菜とともに釜に入れて、たく。
コツは味つけをやや濃いめにするというもの。
炊き込みご飯ほど簡単な料理はないという普段着の料理なのでさっそく作ってみる。野菜はその日にあったゴボウとシイタケ、それに油揚げを加える。味つけは塩、醤油、酒。
炊きあがって、蒸らしたお釜のフタをつまんで、エイ! ヤ! と取る。そこにふわりとのぼってくる炊きあがりの香りが素晴らしい。クジラの臭みなんてまったく感じられない。またしゃもじでご飯を返しても、ぜんぜん脂っぽいなんて感じられない。
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作り方は、普通の炊き込みご飯と変わらない
実を言うと「くじら飯」は普通に、在り来たりに、うまい炊き込みご飯だった。我が家の姫など、熱を通して縮まった黒皮を箸でつまんで、「コンニャクじゃないね」と言ったのだが、「クジラだよ」と言ってもうまそうにあっという間に茶碗をあけてしまった。
やはりクジラが入っているなと改めて思うのは、うっすらと口の回りにつく脂だが、上品なもので、ぜんぜん気にならない。
本来は節分料理なので、彩りに天盛りにする野菜を用意したい。そうするとまさにご馳走然とするだろう。
このような浜田ならではの、しかも季節感のある料理が残っていることに大いに感激する。これだけ食べやすいものなら、ぜひとも家庭で絶やすことなく、節分に食べて欲しいものだと願う。
●その昔、浜田ではクジラをとっていたことがある。それでこんな郷土料理が残っているのだろう。しかし確かなことはわからないままである。この「くじら飯」の情報をお持ちの方、また情報が載った出版物を知っているという方はお教え願いたい。
島根県庁
http://www.pref.shimane.lg.jp/
島根県水産課
http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/
JFしまね
http://www.jf-shimane.or.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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