その昔、深川はシジミ、アサリ、青柳(バカガイ)、ハマグリなどの産地であった。現在では江東区となっている建物のごみごみした、まるで緑のない地帯に広大な干潟があり、魚貝類の宝庫であったなんてとても想像だにできない。そこに今では名物とされる「深川飯」というのがある。
本来の深川飯とはどんなものだろう。
たぶん、徳川幕府以前から、アサリやシジミはたっぷりとれていたはず。ただここで問題になってくるのが「飯」である。江戸に米が潤沢に入ってくるようになったのは徳川幕府が開かれてから。そして江戸初期の調味料はもっぱら味噌だった。だから「元祖 深川飯」はアサリのみそ汁かけご飯であっただろう。
それがいつのときにか変質していき、醤油仕立て(しょうゆじたて)のぶっかけ飯になり、また炊き込みご飯も「深川飯」の仲間とされている。
要するにアサリを種にした飯もの総てが「深川飯」なのだろう。
今回は木更津で子供が掘り取った小振りのアサリ。これは「網元 つぼや」での伝統漁すだてを楽しんだ合間にとったもので、まさに江戸前のアサリだ。
砂抜きが出来ていないので、まずは少量の水でゆでる。
貝殻を外して、身についている砂をよく洗い落とす。
ゆで汁は砂を漉しとって捨てる。
まずはご飯を用意して、ゆで汁、酒、醤油、塩、ささがきゴボウ、ニンジン、油揚げ、せん切りのショウガに水を補ってやる。これで準備はととのった。
我が家は羽釜なので炊きあげ、むらしをいれても時間は30分とかからない。
出来上がった炊き込みご飯はたったの2合ほど。なにしろアサリが少なすぎた。これを家族が分け合って食べたのだけど、やっぱりアサリの炊き込みご飯は最高にうまい。
アサリの旨味というか、ほんのり甘味が感じられて、適度な塩分濃度にごはんが進むから、いかにもあっけない。
姫が「父ちゃんまた海に行こうよ」とねだるのだけど、次回は夏となりそうだ。
網元 つぼや すだて遊び
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きんのり丸の漁師生活28年
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アサリ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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