トリガイの快楽

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 活けトリガイの入荷が目立ってきている。今年も安い。このトリガイほど、ボクが興奮するものはない。それこそ毎日でも食いたい。
 トリガイに旬があるのだろうか? あるとしたら晩春の今頃かな。なにしろ市場で見ない日はないほどに入荷が多いし、また身の甘味がなんとも頂点にあるように思える。ただし毎日のように食べたいと言っても、仕込みが大変なので、それこそ週一くらいに食べる程度で偉そうに言えないかも知れない。

 トリガイの仕込みは、貝殻を剥く。
 このとき表面にできるだけ触れないように気をつける。
 取りだした鳥のクチバシのようなものが足。
 このクチバシを半分に開く。
 開く間にも出来るだけ足の表面の黒い部分に触れてはいけない。
 鍋に湯を沸かし、少し塩を入れる。
 トリガイの足を約10秒ゆでて、氷水に落とす。
 熱を通すと、足の表面の黒い部分がはがれ辛くなる。それでも布巾で水気を拭き取ったりしてはダメ。
 布巾の上に開いた足を置き、水分の落ちるのを待つ。

 後は、必ず貝殻の上に盛りつける。
 トリガイの貝殻の裏側は赤紫色で美しい。ここに真っ黒な刺身をのせた、その姿がよろしいな。
 味はぶるんとして、しかも適度に噛み切れる食感がいい。そこに甘味があって、貝の風味が襲ってくる。
 この極楽気分になれる旨さは、食べなきゃわからない。しかもゆでて市販したものではなく、自分自身で手間と細心の注意を払って刺身を作らないと、極楽にはいけません。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、トリガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/zarugai/torigai.html


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このページは、管理人が2008年5月14日 17:47に書いたブログ記事です。

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