関東では意外に食べないと言うものがあって、それが魚貝類のみそ汁なんである。
魚貝類でだしが出そうなものを、適当に切って、水から煮立たせて、みそを溶くだけという単純極まりない料理であって、しかも滋味豊かなものとなる。これほど家庭料理としても、もしくは料理屋料理としても、栄養学的にいっても、魚貝類をむだなく食べる点からしても優れたものなのに「わざわざ魚を買ってまでみそ汁作るかね?」なんて、ものの価値を知らぬヤカラが多すぎる。
ボクは魚貝類を調べれば調べるほど、みそ汁の重要性を思い知るのである。
さて、魚をみそ汁にするときには、ウロコを取り、内臓をだし、適当に切って、湯通しして、汚れを取り去る、なんて単純な料理の割に下準備が大変だったりする。これが甲殻類なら、至極簡単である。買い求めてきたら、とにかくぶつ切りにして放り込めばいい。
今回の主役は岩手県からきたヒラツメガニ。外海に面した砂浜などに棲息するもので、千葉県では背中の門から「ホンダがに」、「Hがに」と呼ばれ、岩手県では「丸がに」となる。
値段はワタリガニの仲間では小振りで、もっとも安く、今回のものでキロ当たり1000円(仲卸にて)しかしない。
一日部屋にこもりっきりで、一人っきりのお昼ご飯。
しかも時間がなく、それでもせめて美味しいものが食べたいので、みそ汁だけは贅沢に仕立てる。
ヒラツメガニは包丁でガッシガッシと適当に切る。
これを水、少量の味醂(みりん もしくは酒)とともに鍋に入れて、ガスの火をつける。
沸騰してきたら、アクをひき、水溶きしたみそを加える。
もう一度沸騰してきたら出来上がり。
カニのみそ汁は、とにかく行儀悪く食べるに限る。
器からはみ出したカニをシャブリ、殻を噛み砕き、身をすする。
ヒラツメガニは殻が柔らかい。
身には甘味があり、ミソにも濃厚な旨味がある。
ときに汁をすするのだが、ここに濃厚な旨味が感じられて、おかずのような汁のようなものとなっている。
すなわちみそは少な目なのに、汁の濃度が非常に濃くて、ひとすすりして白いご飯をかき込むとまさに絶品。
みそ汁、残りご飯と、沢庵(たくわん)だけの昼飯だけど、腹が温まり、とても豊かで幸せな心持ちになる。
午後からもがんばるぞー! とエネルギーが満ちてくるのだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒラツメガニへ
http://www.zukan-bouz.com/kani/gazami/hiratume.html
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岡山県倉敷市児島高州「からこと丸」の潮干狩りでとれたナミガイうまいね!
関東に来てからはスーパーで見かけても買わなくなってしまいましたが、岩手に住んでた頃はよく釣れたので思い出深いです。
冬は適当な砂浜で1時間も狙えばバケツ一杯釣れたので汁にしたり、混ざる大型は焚き火にくべて焼いて食べながら竿を出してました。懐かしいです。
最近は岩手でもそんなに釣れないのではないでしょうか?
関東だと、もっと釣れる数は少ないものと思います。