岩手県からきた「丸がに」をみそ汁に

0

hiratume0805.jpg
●クリックすると拡大

 関東では意外に食べないと言うものがあって、それが魚貝類のみそ汁なんである。
 魚貝類でだしが出そうなものを、適当に切って、水から煮立たせて、みそを溶くだけという単純極まりない料理であって、しかも滋味豊かなものとなる。これほど家庭料理としても、もしくは料理屋料理としても、栄養学的にいっても、魚貝類をむだなく食べる点からしても優れたものなのに「わざわざ魚を買ってまでみそ汁作るかね?」なんて、ものの価値を知らぬヤカラが多すぎる。

 ボクは魚貝類を調べれば調べるほど、みそ汁の重要性を思い知るのである。
 さて、魚をみそ汁にするときには、ウロコを取り、内臓をだし、適当に切って、湯通しして、汚れを取り去る、なんて単純な料理の割に下準備が大変だったりする。これが甲殻類なら、至極簡単である。買い求めてきたら、とにかくぶつ切りにして放り込めばいい。

 今回の主役は岩手県からきたヒラツメガニ。外海に面した砂浜などに棲息するもので、千葉県では背中の門から「ホンダがに」、「Hがに」と呼ばれ、岩手県では「丸がに」となる。
 値段はワタリガニの仲間では小振りで、もっとも安く、今回のものでキロ当たり1000円(仲卸にて)しかしない。

 一日部屋にこもりっきりで、一人っきりのお昼ご飯。
 しかも時間がなく、それでもせめて美味しいものが食べたいので、みそ汁だけは贅沢に仕立てる。

 ヒラツメガニは包丁でガッシガッシと適当に切る。
 これを水、少量の味醂(みりん もしくは酒)とともに鍋に入れて、ガスの火をつける。
 沸騰してきたら、アクをひき、水溶きしたみそを加える。
 もう一度沸騰してきたら出来上がり。

 カニのみそ汁は、とにかく行儀悪く食べるに限る。
 器からはみ出したカニをシャブリ、殻を噛み砕き、身をすする。
 ヒラツメガニは殻が柔らかい。
 身には甘味があり、ミソにも濃厚な旨味がある。
 ときに汁をすするのだが、ここに濃厚な旨味が感じられて、おかずのような汁のようなものとなっている。
 すなわちみそは少な目なのに、汁の濃度が非常に濃くて、ひとすすりして白いご飯をかき込むとまさに絶品。

 みそ汁、残りご飯と、沢庵(たくわん)だけの昼飯だけど、腹が温まり、とても豊かで幸せな心持ちになる。
 午後からもがんばるぞー! とエネルギーが満ちてくるのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒラツメガニへ
http://www.zukan-bouz.com/kani/gazami/hiratume.html


このエントリーをはてなブックマークに追加

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.zukan-bouz.com/mt-app/mt/mt-tb.cgi/1581

コメント(2)

関東に来てからはスーパーで見かけても買わなくなってしまいましたが、岩手に住んでた頃はよく釣れたので思い出深いです。
冬は適当な砂浜で1時間も狙えばバケツ一杯釣れたので汁にしたり、混ざる大型は焚き火にくべて焼いて食べながら竿を出してました。懐かしいです。

user-pic

最近は岩手でもそんなに釣れないのではないでしょうか?
関東だと、もっと釣れる数は少ないものと思います。

月別 アーカイブ

このブログ記事について

このページは、管理人が2008年5月18日 07:50に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「静岡県沼津魚市場、久しぶりに「外法」を買い求める」です。

次のブログ記事は「岡山県倉敷市児島高州「からこと丸」の潮干狩りでとれたナミガイうまいね!」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。