最近では魚貝類のアカニシよりも人間のアカニシ(赤西 どんなアイドルなんだろうね)の方が有名らしい。
その昔、東京湾が健全であった頃には湾奥のアカニシも、それはたんと食べられていて、珍しいものではなかったはずだ。それがたかがアイドルよりも知名度が低いものになろうとは情けない。
各地で、この巻き貝を単に「にし」と呼んでいる。「にし」は「螺」のことで巻き貝という意味。身近にいる巻き貝でもっとも普通のものという意味合いもあるだろう。
いつのころか、アカニシの知名度は低く急降下してしまったようだ。これは高度成長期に内湾の汚染や埋め立てが進んで、少なくなり、またこんな地味な貝を食べようとする人もいなくなったためだろう。
その上、アカニシは過去にサザエの偽物に使われたりして、ちょっと最近でいうところのアブラボウズのような立場になったこともある。サザエの代わりになるくらいだから、味はいいのである。でもアカニシをサザエとして売るなんて、失礼と言えば失礼だ。
さて、棲息している場所がアサリやバカガイと同じなので潮干狩りをしていて、大きなアカガイを見つけるとビックリする。でもなかなかこんなことは珍しく、こいつをつかまえるのはなかなか難しい。今回食べたのは、木更津のものは千葉の海人さんが掘り出したもの。それから、また1週間後にこんどは倉敷市児島高洲でダイスケさんがとったものが送られてきて10日ほどの間にたっぷりアカニシを堪能する。
アカニシはサザエの偽物にする場合には、まずはゆでる。
これを刻んでサザエの貝殻に入れて焼くのだ。
このゆでたのを壺焼き風に焼くのもうまいことはうまい。
でもいちばんうまいのは単に足の部分を刺身にすること。
貝殻からの取り出し方はエゾボラと同じ。
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/ezobora/sasimi.html
取りだしたら、足の部分を切り取り、半分に開く。
ボウルに塩を入れて、ここでよくよく揉む。
滑りがいっぱい出てくるから、これを最後に水洗いする。
よくよく水洗いして、水分を拭き取るのがコツ。
中途半端にやると生臭い。
後は適当に切り、貝殻にもどして食卓に出す。
貝の臭みをどう表現したらいいのだろう。難しいねー。臭みなのか、香りなのか微妙である。
身にはアミノ酸などからくる甘味があり、ちょっと渋みもあるけど、これもアミノ酸からくるのだろう。
適度な渋みは甘味を強く感じさせる要因となっているようなので、アカニシはこのバランスがいい。
他にはタウリンなど、たくさんのこれまたアミノ酸が混ざり合って複雑な旨味を作り出している。
そこにコリっとした食感がくるので、これだけ複雑な味わいの割に爽やかな感じがする。
アカニシの刺身は、もう完全に酒のつまみである。意外に巻き貝の刺身には吟醸酒が合う。
と言うことで、島根県安来市の「月山 純米吟醸」を合わせることにする。
こんなとき五十路オヤジはちょっと幸せな気分になる。この年になると普段が不幸の連続なのだから、こんな小さな幸福がやたらにうれしーねー。
網元 つぼや すだて遊び
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からこと丸のことは
http://www.tamano.or.jp/usr/karakoto/index1.html
きんのり丸の漁師生活28年
http://kinnori.jugem.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカニシへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/sinfukusoku/akkigai/akanisi.html
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「目光の唐揚げ」は真っ向勝負の感がある
海人さんに貰って初めて食べましたが、アカニシは爽やかな味ですね。アカニシとサザエの違いはタイラギとホタテの違いに似ていると思いました。
あと、殻から出すのはうちにある100円ショップのアイスピックでは殻に穴があかず、この方法は断念。フライパンに水を1cm位入れたところに並べて火にかけ、グニョ〜と身が出てきたところをフォークで突き刺して抜き出しました。
鮟鱇さん、ボクは100円ショップ嫌いなんです。
アイスピックは本物を買いましょう。
我が家のは30年近く使ってますけど、河童橋でちゃんとしたものを買ったせいか、曲がってすらいません。
ちなみにアイスピックは大きめ、長めが使いやすい。