最近、イワガキの産地は数知れず。
今のところ市場で確認していないのは北海道、青森県、東京都、大阪府、和歌山県、岡山県、広島県、香川県、山口県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県の13都道府県のみとなった。
このイワガキの産地が爆発的に増えたのは、たぶんここ10年ほどではないだろうか?
イワガキを昔から食べていたのは秋田県、新潟県、千葉県、鳥取県などである。(他にもありそうだ。情報求む)
その千葉に近いことから東京築地などには、もっとも古くからイワガキが入荷していたのだ。古くからの消費地である関東では今でも「イワガキは天然物に限る」という考えが根強く残る。逆に新しい消費地の関西には養殖・天然の値段差はないようだ。
そして千葉県でもイワガキを食べていたのは銚子近辺に限られていた。飯岡というのは銚子の隣町にあたり、イワガキの漁場である外川(とがわ)は至近の距離にある。すなわち飯岡産というのは銚子産と同じ意味合いだと思ってもいい。
銚子産のイワガキは関東ではもっとも値が張るもの。ただし最近では大きなものが減ってきているように思われ、「大きいほど高い」イワガキの世界では苦戦しているようにも思える。
今回の飯岡産イワガキの裏面は凸凹していて自然の岩石にくっついていたのがわかる。最近気になるのがきれいなアールを描いた平面的な裏側のもの。これは明らかに人口的な構造物、例えばテトラポットなどにくっついたもの。これは味とは関係ないけど、イワガキはやっぱり岩にくっついていて欲しい。
イワガキの開け方はフタを上に向け、蝶つがいのある方を手前にし、時計の10時10分の場所を目安にして、貝剥きを前方に向けて差し込んで貝柱を切る。貝剥きを差し込む場所が見つからないときには、開け口を小さなハンマーなどで壊してもいい。(6月の築地土曜会ではイワガキの開け方の講習会でもやろうかな)
ふたが開いたら、底の方の貝柱も切る。
流水で貝殻の破片や汚れを軽く落として、あとは食べるだけだ。
この飯岡産イワガキが絶品であった。まだ旨味が最高点にはなく、渋みも控えめながら、身がところどころコリコリしている。食べた感じがさっぱり爽やかに思える。それなのにそれなのに旨味というか適度な甘味もあって、もの凄く満足度が感じられる。
イワガキはいっきに食べて、その後、少し余韻を楽しんでから辛口の純米酒で洗い流すのがいい。
面白いのは一度消えたイワガキの味わいが、日本酒によってもう一度蘇る。これはなんとも不思議なのだ。
このようなことは島根のトーボさんに質問してみたいな。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イワガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/iwakaki.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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5月のメスガニの謎
昨日、ヤマトシジミ氏から本件について聞きました。折角のご氏名なので、専門外ですが、下記のようにまとめてみました。 結局、舌に広がっている味蕾細胞の機能回復か機能亢進によって、再び「味わい」として感じられるのでしょう。その機序は、良く分かりませんが、余り突き詰めると学究的には面白いでしょうけど、何か興ざめしますよね。こんな事書いている自分にも嫌気がさしてきますので、ここでおしまいに・・・。でも「味わい」が「香り」も含んでいると、「香り成分」はナノグラム単位の微量で感じるものですので、お酒はマスキング効果の除去に役立っているのかもしれません。果たして真実は・・・。
イワガキの味わいは、非常に長く残りますね。
これも疑問なんです。
長く残るのがアルギン酸なんかのアミノ酸由来の苦みではないかとも思うんです。
これはトーボさんへの宿題だと思ってください。