木の芽時になると食べたくなる魚の筆頭にくるのがアイナメ。
これから夏にかけて、毎日食ってもあきませんなー。
活けなら洗い、刺身。
この真っ白な身のどこに、こんな甘味のある脂があるんだろう、と不思議に思えるくらいだ。
粗(あら)は潮汁にする。
アイナメの和名の由来は「愛な魚」。
「愛」は愛でるだから、そのまんま「うまい魚」の意味となる。
広島県など瀬戸内海に「籾種失(もみだねうしない)」という呼び名もある。
これなどアイナメがうますぎて、籾種(稲などの種)を買うために残して置いたお金まで使い果たすということ。
だれが食べても、これほどうまい魚はない。
さて、本日のアイナメ料理は焼き物である。
我が家の山椒(サンショウ)の木は小さくて、毎日2、3枚ちぎったら、そのうちに丸裸になってしまうほど。
そこからなんと4枚も切り取って、小さく刻む。
醤油(しょうゆ)と味醂(みりん)を同割にしたものに、身側に切れ目をいれたアイナメをつける。
このとき風味づけに使うのが4枚の山椒なのだ。
これをやや強火で焦がさないように焼き上げる。
アイナメを焼くのは短時間でいい。
味醂と醤油が少し焦げたら、慎重に皿に盛って、出来上がったのが「アイナメの木の芽焼き」である。
アイナメは熱を通すとより身の甘さが感じられ、より旨味も増す。そこに香ばしい味醂と醤油の味が来て、山椒の香りがぷーんと鼻に抜けるのだ。
これこそは完全無欠なる皐月の酒肴だ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アイナメへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/ainame/ainame.html
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