「酢みそ合え」と「ぬた」、違う料理なのかというと、同じものだと思っている。「饅」という文字をあてるが、実は「沼田あえなます」が語源だ。ようするにみそと酢でもって沼のようにぬかるむ田を思わせる和え衣をつくり、野菜と生の魚貝類を合わせたもの。また「なます」は醤油誕生(醤油が人口に膾炙する)前、生の魚貝類の代表的な食べ方だった。
この「ぬた」を我が家では日常茶飯事につくる。
野菜も魚貝類も季節季節のものを使う。
毎味水産さんに三河湾のトリガイをいただき、そのままいただき、そしてぬたにして楽しむ。
季節の野菜はつるむらさきを使った。
つるむらさきはもともと東南アジアなどを原産とする。
これが夏野菜としてこの国に定着したのは何時の頃だろう?
梅雨入りして、ほうれん草やアブラナ科の野菜がとたんに味を落とす。
そんなときに、まさに救いの神のように出てくるのが、つるむらさき。
夏に食べて、これほどうまい野菜もないだろう。
独特の風味は、貝などと取り合わせて、まことに美味。
作り方は書くまでもないが、酢みそ作りから。
みそと砂糖を合わせて、すり鉢ですり、すこしずつ酢を加えていく。
このとき煮きり味醂(みりん)、昆布だしを加えるのは料理屋の料理だから、我が家は単純に作る。
トリガイは開いて湯がいている加工品だから、そのまま水分をよくとる。
つるむらさきはゆでておく。
つるむらさきとトリガイを合わせて、食べる直前に酢みそで和える。
我が家の悲しいところは辛子酢みそにできないことだ。
大人としては、なんだかもの足りぬ。
でも、ぬたは子供達の大好物でもある。
さて、ぬたを魚に酒を飲む。これほど「酒の味」を浮き立たせる飲酒法もないだろう。
毎味水産のトリガイは冷凍流通するものなのに貝の旨味、甘味が強い。
そのまま食べて美味なのだから、ぬたにしてまずいわけがない。
合わせる酒は高知県の亀泉、この辛口の酒が梅雨のひぬまにうまいな。
毎味水産
http://kotomi.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、トリガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/zarugai/torigai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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ナガウバガイでぶっかけ飯
土曜会ではお世話になりました。トリガイ、食べちゃってからこちらを拝見したので、一部ぬたにしてみてもよかったなぁ、と思いました…。
ななさん、「ぬた」というのは最近あまり作られない料理になっています。
残ってしまった刺身でも、ボイルしたものでも、なんでも材料に出来る重宝な料理なので、ぜひ家庭で作って欲しいものです。
また9月の土曜会にも参加してください。