水産物の図鑑を作っていてもっとも困難に思えるのが巻き貝の同定である。
巻き貝の貝殻の形だけ見ても種はわからない。
貝殻の厚み、殻皮(貝殻の表面を被う膜)、割って貝殻の断面の色、そして同じ地域での変異、地域を違えての変異。
巻き貝を同定するのは職人技なのではないだろうか?
なかなか貝同定職人の技を身につけることの出来ないボクは「日暮れて道遠し」の感を強くする。
食用貝のなかにもやっかいなのがあって、現在改訂するにも行き詰まっているのがエゾバイ科Bussinumのなかでもヒモマキバイのグループだ。
これらを市場では「灯台つぶ」と呼ぶ。
当然「灯台つぶ」は一種類ではなくクビレバイ、ヒモマキバイ、シライトマキバイ、オオカラフトバイなど複数の種が入り交じる。
この灯台つぶを見かけるたびに逃げ出したくなるほど、その種を判定するのが難しい。
素人だけではなく、ボクが想像するに専門家と言われる人たちにも混乱が生じていそうだ。
厚岸産灯台つぶ、これをいい加減にオオカラフトバイとして夏らしい煮貝をつくる。
まずよく洗って汚れを落とす。
鍋にみりん、酒、砂糖少々、醤油と水を入れてオオカラフトバイを加える。
全部放り込んで火をつけてほどよく煮えたら火をとめて青唐辛子を加えて、がらがらと菜箸でかき混ぜる。
このまま鍋止めをして、冷えたら、また青唐辛子を加える。
夏らしい、ぴりっとした煮貝が出来上がる。
選ぶ酒は隠岐の辛口「高正宗」。
雑味ありなのだけどバランスのいい酒が、煮貝にもってこいだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、オオカラフトバイ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/himomakibai/ookarafutobai.html
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ドジョウの親子鍋は夏の味覚