国内ではベニザケはとれない。
一般的にはそうだけど正確には、ほとんどとれないというのが正確だろう。
春から夏にかけて量は少ないけどとれる。
これは三陸近辺がベニザケの回遊の南端にあたるからだ。
回遊の通り道にあたる根室からのものが多い。
この根室産のベニザケを築地場内『大音』さんで見つけてすぐに買い込んだ。
これがまことにうまいのだ。
生だし、一度も冷凍していない。
それをムニエルだとか、フライだとかにする。
このベニザケの身のうまさをどう表現したらいいのだろう。
苦しむのだけど、とにかくベニザケ独特の旨味があって、これが濃厚なのだ。
しかもここに適度に脂がのっている。
その短期間水揚げされる国産ベニザケの料理法として最高峰なのが塩焼きなのだ。
出来ればカマ(胸ビレから鰓ぶたまでののど頸の部分)をズドンと筒切りにしてこんがりと焼き上げる。
平凡すぎる料理なのに圧倒的なうまさを感じる。
脂ものっており、甘味があるのもいい。
サケ類の身には独特の風味というか臭みがある。
ベニザケにもそれを感じるのだけど、微かなもの。
これがアメリカなどでも好まれるものなのだろう。
敗戦後北洋でのサケマス漁が始まったとき、ベニザケは缶詰になりアメリカへ輸出されていたのだ。
当然魚臭くないのでパン食に合う。
その代表的な料理法がムニエルなのだけど、これも絶品である。
ルイベ、酢締め、フライなど一本のベニザケで大層口福を感じる。
さて、毎日暑い日が続いている。
近所の空き地にはオオケタデが美しい紅色の花をたらしている。
ベニザケの入荷が終わると夏本番となる。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ベニザケ
http://www.zukan-bouz.com/sake/benizake/benizake.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
ドジョウの親子鍋は夏の味覚 後の記事 »
浜田市「シーライフ」のどんちっちあじの干物