「どんちっちあじ」のスペシャル

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 島根県浜田市の「どんちっちあじ」というのは巻き網でとったマアジで脂肪の比率が高く、しかも漁場が近い(鮮度がいい)ものを差す言葉。
 どちらかというとマアジという庶民派の魚に品質保証をつけたものと思ってもらった方がいい?。
「どんちっち」を買う限り、味の方は間違いなく一段上だと思って間違いないのだ。
 でもいずれにしろ、ちょっと地味だな、なんて思っていたら、「どんちっち」というブランドを立ち上げた浜田市で、その上のマアジを試験出荷してきた。
 釣りもの、型がよく、しかも一定期間活かしておいて、出荷直前にしめる。
 そうだ、今ではマアジの代表格になってしまっている「関あじ」と同じ出荷方法なのだ。

 水産物はとるのも大変だけど、それを流通させるのも大変なのだ。
 まったく同じ魚でも出荷する箱の大きさ、量、仕立て方(氷や、下に敷く紙)で値段が変わる。
 だから試験的に出荷することも、最近ではよくあることなのだ。

 この「どんちっちあじスペシャル」も出荷の形態ではまだまだやるべき課題が多い。
 例えば、今回は下に氷を敷いての出荷なのだけど、氷の上に流通時のショックを和らげるクッション材がしかれていない。これだと氷の凸凹が下になる方についてしまう。
 築地では、これだけで大きなマイナス要因となる。
 また一匹600グラムほどもある大アジを8本入りにしているが、5本にする方が値がつく。

 さて、固い話はやめて、今回の「どんちっちスペシャル」を食べてみる。
 当然、刺身にするのだけど、脂が多いものと少ないものを2本もらってきた。
 これは渡邉祐二さん(浜田市水産物ブランド化戦略会議専門部会部会長)が場内ではかってくれたもの。
 総て脂質10パーセント以上なのだけど、方や12パーセント代後半、方や12パーセント代前半とでた。

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今回いただいたマアジはすべて直前に脂質を計測してもらった。そろそろマアジのシーズンも終盤となる。それでも12パーセントから13パーセントの脂質ありと出た。

 帰り着いて卸してみると脂質の高い方が抱卵したメス、低い方がオスであった。
 産卵期にはオスの方がうまいと思っていたので意外だ。

 さて、今年はマアジを飽食している。
 とくに島根半島の定置網マアジにうまさでノックアウトされてから、ちょっとやそっとのうまさには動じなくなっている。
 だからこの「どんちっちスペシャル」にも味わいで驚かせられることはなかった。
 ただただ味のいい、脂ののったマアジだ。
 あえて言うと、2本の味では脂の層の厚みが違っている。

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 それでは、「スペシャル」な意味あいはないではないか?
 と思われるだろう。
 否である。
 やはり、これは「スペシャル」なマアジである。
 とにかく脂も旨味も充分であることはくどいほど書いておきたい。
 そこに活けのような食感を感じるのだ。
 もともと長崎県から島根県までのマアジは日本最高峰とされてきているのだ。
 これなら総合点で「関あじ」を超えられるのではないだろうか。

 まだまだ試験的な出荷だが、来年度には「どんちっちスペシャルあじ」で市場を「あっ!」と驚かして欲しいものだ。

島根県浜田市「どんちっち」
http://www.city.hamada.shimane.jp/kurashi/nousui/suisan_don.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マアジへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/aji/maaji.html


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コメント(6)

 初めの写真は「江津(ごうつ)港」ってラベルに書いてあったので、「おおっ!」と思いました。一本釣りのアジだと思うんですけど、江津には、脱サラした釣り名人が居るのを思い出しました。
 その名人は釣りの技術もあるのでしょうけど、名人たる所以は、釣った魚を上手に船上で活〆して、その後理に叶った鮮度保持方法を工夫されているところなのです。10数年前でしたけど、その方の魚価が他の漁師さんに比べて倍位違うというデータを見て初めは何かの間違いかと思いました。でもそれは本当で、その漁師さんの出荷した魚は日持ちが長いので高く売れるとのことでした。
 現在も、健在なのかまた、何かの機会に調べておきましょう。

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7月初めに佐賀関の近くの42cmの釣りアジをもらいましたが脂ののりは今一つでした それに比べてスーパーで買った島根産のアジは 小さくても5,6月は最高でした 
季節限定の地域差でしょうか? だとしたらドンチッチアジは数年後には高級ブランドですね 

それとも今年はたまたまなのでしょうか?

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トーボさん、たぶん釣り漁師は少ないでしょうから、関係有りでしょうね。
こんど渡邉さんに聞いてみたい。
また測定器で12パーセント上というのがいかに脂があるものかを思い知りました。
また、えのきがまさん、お近くなのですから島根に行ってみたらどうでしょう?
美保関定置は水揚げの場で魚が買えるんです。
観光地としての美保関もいいし、魚もうまい。

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活けしめの効能って、科学的に分かっているようで(実は分かっているのでしょうが)分かっていないのかもしれません。メダイで調べたら、内臓の保存性、肉の生臭いにおい、破断強度など、これでもかってほど違いが出るのです。実験、分析していて本当にびっくりしましたよ。
それにしてもどんちっち。平成15年くらいまでは、もちろん脂は乗っていたけれど、周期的な増減だけでしたが、ここ最近は本当に不安定。今年は今までだったらあまり脂の乗りが良くなかった(それでも10%はゆうに超えてはいたけれど)60〜70gサイズでも、すごく脂が乗っていたとのこと、ここ最近、海の状況がおかしいのかもしれません。だからこそ、脂質測定装置が活きるとは思うのですが・・・
ぼうずコンニャクさん、シイラの肉質って本当に不思議です。でも、色々な魚種で肉質の話が出ますがこのシイラの現象はたぶん色々な魚種に関係していると思いますよ。
今の職場ではもう何もできませんが・・・

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まじまじさん、ボクも最近魚の旬がわからなくなっています。
最近入荷してきているマサバ、ゴマサバの脂ののりも、けっして悪くない。
マサバは秋から冬のものなんて今でも単純化して考えているヤカラが悲しく愚かに思える。
この脂ののりを計測するというのは、もっと普及してもいいね。
それと今年はシイラを手に入れられないね。
来年に期待かな?

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山陰のサバって、春に意外と脂が乗っていますよ。あと、小型のサバでも季節により、脂の乗りが良いことも。数年前までは脂の乗りが周期的であったことを考えると、本当に何か海の状態が急激に変わっているのかも?シイラはここ最近、近所のスーパーでも目にするようになりました。もしかしたら、少し漁模様が良くなったかな?また情報があれば、連絡しますね。

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このページは、管理人が2008年7月18日 11:02に書いたブログ記事です。

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