大分県、徳島県、山口県に共通する練り製品が「かつ(フライ)」である。
大分、山口は「ぎょろっけ」なんていう。
徳島では単に「かつ」もしくは「魚かつ」。
形は違うけれど、要するに魚のすり身にカレーや唐辛子などの香辛料をまぜて、フライにしたものという共通点がある。
意外に3県ほど知られていないのが島根県浜田市の「赤てん」。
これも同様に和洋折衷の味わいでとてもうまい。
この練り物をフライにするというのは戦後、東洋水産(現マルハ)などが魚肉ソーセージを開発したときに、他の練り製品の売上が落ちた。それに対抗すべく開発したものが練り製品のフライなのだ。
これを揚げる直前の形にまで仕上げて、ご家庭で揚げたてをお楽しみ下さいというのが「いそまる本舗」の赤てん、そして新しく開発された黒てん。「黒てん」はイカ墨を使って真っ黒に仕上げている。
赤黒、どちらが面白いかというとボク個人からすると「赤かな」と勝手に思う。
それでともに取り寄せてみた。
赤てんのうまさは、まさにボク好みである。
知り合いに島根県出身で、高校時代の弁当のおかずはいつも赤てんだった、という五十路男がいるが、むべなるかな。間違いなく毎日食べても飽きないだろう。
やや甘めの練り地にピリカラ風味。
揚げたてを食べたときの感激はなんともいいようがない。
そして「黒」は赤てんに対してとってつけたような、イヤだなと思ったら、こちらの方が味は正統派だった。
練り物本来の味はこっちの方がいい。
そこにフライの香ばしさがきて、少しだけ異端であるのがいい。
そう言えば「亭主の好きな赤烏帽子」なんていうけど、対するに「黒」はスタンダードな意味合いを持つ。
黒はじっくり味わうとうまい。
「赤てん」はなんといってもビール、とにかくビールがうまいけど、「黒」は日本酒にも合う。
いそまる本舗
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