八王子魚市場の駐車場を下りた途端にものすごーくいい匂いがする。
抗っても抗えないような、強い吸引力をもった“うまそうな”匂いだ。
いい匂いの正体はすぐに判明した。
八王子魚市場マグロ部のムッシュが大型のコンロでマグロカマを焼いている。
カマとはマグロの頭部の真後ろ、背中から胸鰭(びれ)と腹鰭を結ぶ場所をいう。
担鰭骨を始め複雑な骨が多い場所で市場でときどき安く売られていたりする。
今回のものは大きさ、脂の強さから本鮪(ほんま クロマグロ)に違いない。
ムッシュはさっさと振り塩をしてじっくり寝かせてから、これもじっくり焼き上げた。
緑の紙にのせたカマをさっそくムッシュが「食べてみな」と差し出してくる。
まことにうれしい一瞬なのである。
いちばん大きな塊を割り箸でほぐして、手に受けて口に放り込む。
塩味と、脂から来る甘味がいきなり口を満たす。
そして口の中でゆるゆるほぐれながら液状になった脂が塊からほとばしり出てくるのだ。
酒もビールもいらない。
それこそ水も飲みたくないというほどにうまい。
ついに行儀悪く手が伸びてしまう。
この単純な料理、誰にでも出来るとお思いになるかも知れぬ。
あにはからんや意外に難しい。
塩加減、寝かす時間、焼き加減とどこにも気を抜く工程がない。
総て完璧にやり遂げて初めて見いだせる美味なのだ。
ムッシュの料理上手はなんども見てきているのだけど、また再度見直すこととなった。
八王子魚市場の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
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