2008年8月、関東では国内産ヤマトシジミ(一般的にシジミというのはこれ)でいちばん値段が高いのが北海道産である。
次いで青森県産、茨城県産ときて三重県と島根県のものが最下位に甘んじている。
そんなバカな、と島根県人も三重県人も憤慨するだろうけど、現実は現実だ。
ヤマトシジミの値段は味もさることながら、大きさによるところが大きい。
ある程度大きくないと値段がつかない。
その点、島根県宍道湖産、三重県木曾川河口のものは小振りに過ぎる。
三重県のものは明らかに無謀な、ある意味歴史的には悪質な河口堰のために良質なシジミがとれなくなっている。
対するに島根県宍道湖のものは洪水など天災によるもの、また水質が原因など、現在色々研究中だけど、シジミの粒が小さく、またとれる量も少なくなっている。
そんなとき「島根県でも神西湖のものはとてもうまくて、粒も大きいんです」と島根のトーボさんからシジミをいただいた。
神西湖は旧出雲市、湖陵町(ともに現在では出雲市)にまたがる湖で良質のヤマトシジミがとれることで有名である。
さて、ヤマトシジミの値段は大きさだと書いた。
それに加うるに粒の揃っていること、また貝殻に艶があることなどが挙げられるだろう。
神西湖のシジミをボウルに開けると、それはそれは美しいメノウ細工を思わせるのがカラカラと飛び出してきた。
これならば見た目では北海道以上ではないだろうか?
定番的なみそ汁の味がまたいいのだ。
汁に臭みがまったく感じられない。
二枚貝の持つ、濃厚な旨味があって、しかも貝殻にくっついている身がふっくらしている。
神西湖のシジミは国内産でも一位二位ときて三位に下ることのない名品だと銘記する。
ここで断っておきたいことがある。
ボク、ぼうずコンニャクが島根県水産課のアドバイザーを引き受けていることだ。
それではきっと島根びいきになっているに違いないだろう、と思われても仕方ない。
だが、ぼうずコンニャクの特質は身内に評価が辛いことだ。
例えば宍道湖のシジミは関東に来るものは明らかに小粒で、味わいにも出色の点がない。
湖内でもっと大きく育てられないか、また砂だしなど衛生管理なども徹底できないのか、宍道湖シジミに課題は多い。
当然、神西湖のシジミにも多大な期待は持っていなかった。
そんな状況での結論であるから、たぶん築地にきたとしても出荷形態さえ、きれいであれば最高の評価がえられるだろう。
神西湖のシジミがブランド化されて、高く売れるようになると島根の他の産地でとれたものも値が上がるかも知れない。
島根にとってシジミはとても重要な水産物だ。
水質など、県民総てが環境保護に積極的であることが、シジミの評価を上げるに繋がりそうでもある。
島根県出雲人は「シジミの身になって暮らす」べきだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヤマトシジミ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
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