我がご近所に住むnicさんにおいしい「ゆずこしょう」をいただいた。
宮崎県児湯郡西米良村というところで田爪とみ子さんがつくったもの。
「ゆずこしょう」の「柚」はわかりやすいけど、「こしょう」は説明が必要だろう。
これはコショウではなく、唐辛子のことなのだ。
コショウは国内に入ってきたのは古く、天平時代(8世紀)にまで遡る。
対するに唐辛子は室町時代。
コショウの木が国内で育たないのに対して唐辛子は国内で手軽に栽培できた。
当時輸入品はそれこそ気が遠くなるほどに高く、庶民には見ることもできないもの。
唐辛子の「唐」は単に異国をさすもので、「異国から来た辛い食べ物」として名がある。
胡椒というのも「胡」は秦・漢時代(紀元前3世紀から、紀元0年まで)から西域を表すもので、これも「異国」であって「胡椒」自体が「異国から来た香辛料」をさす言葉でもあったのだ。
庶民の手に届いた唐辛子が「こしょう」とも呼ばれたのは当然のこと。
これは九州だけでなく、北陸から東北日本海でも唐辛子を「こしょう」と呼ぶ。
青い唐辛子をするおろし、柚の皮と合わせて、寝かせて発酵させたものが「ゆずこしょう」である。
主に九州東部で作られている。
この香りが高く、辛さに独特の旨味をともなった調味料は、ある意味、どんな料理にも合う、
我が家では、釜揚げうどんを、そうめん汁に、ときに焼いた豚肉に、また蒸し鶏に、刺身に和え物にと活躍している。
今回はやっと出始めた下氷のスルメイカをひも状にして、ささっと「ゆづこしょう」であえる。
ほんの少し、生醤油を垂らしているのだけど、これがとても味わいを深いものにする。
五十路になって、ますますこのような単純極まりない料理がうまいと思うようになってきた。
8月の軟らかいが旨味が少ないスルメイカが、9月になってぐっと旨味を増している。
そこにユズのなんともいい香りが包む。
青唐辛子の強い辛さが、イカの甘味と口の中で闘っている。
いいのである、この口中の抗ううまさが。
酒は明らかに焼酎でなければならない。
今回のものは同じく宮崎県の「八重桜 麦」とした。
この麦焼酎と「スルメイカのゆずこしょう和え」がとても相性がいい。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/surumeika.html
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