金沢中央卸売市場で歩きに歩き、荷受け、仲卸で島根県の水産物の評価などを聞く。
これがなかなか疲れるのだ。
なにしろ無類の市場好きであるし、市場にある水産物青果ともに大好きなのだから歩いているだけで短時間に膨大な情報が頭に入り込んでくる。
ちなみに最近のフードライターなんてヤカラの食の知識なんて、幼稚園に入る前のレベルでしかない。
職業にすると食への好奇心が薄れるのだろうかね。
金沢の地納豆を見つけた、練り製品の種類、天然らしいキノコがあってイグチ科らしいなど、これらはおいおい書いていくことにする。
仲卸に据え付けの火鉢があって炭で暖をとっている。
きっと厳冬期には絶えられないほど冷え込むに違いない。
ふと、井上靖『夏草冬濤』をもう一度読み直したくなる。
中央市場を後にしたのが9時前。
市場があるのが北陸本線の西側になるので、ここからバスに乗り、金沢駅をこえて、こんどは北陸本線の東側にある武蔵が辻で降りる。
これが3度目の近江町市場である。
ここでも一部建て直し中で改装を始めている。
20年ほど前にきたときより、変に小ぎれいになり、北陸の庶民の市場らしさ、質実な部分が安っぽくペレペラしたものに変わりつつある。
さて、ここで金沢のこと。
金沢は戦国時代から江戸時代にかけて佐久間氏、前田氏と大大名の居城が造られた。
その戦国期以来の城下町であることは平城ながら戦国時代の面影は曲がりくねる通り、路地などに感じられる。
普通観光客が訪れるのが、金沢駅の東側。
浅野川、犀川に挟まれた市街地。
バス通りが駅から東南に弓なりに曲がって、武蔵が辻、香林坊、片町へと続く。
この通りの左右に金沢城、兼六園、武家屋敷がある。
ただボクは今回が3度目なのだが兼六園にも武家屋敷のある通りにも、東の廓にも行ったことがない。
観光らしい観光はまったくしていない。
だから一般的な概念としての金沢はまったく知らないと明言しておきたい。
近江町市場はたくさんの路地。
路地の左右に魚屋、塩干・練り製品の店、青果店が並ぶ。
この市場の歴史は古く、加賀一向宗の尾山坊建設(1546年)のときに近江商人の門徒衆が移り住んだところ。
近江商人が移り住んで市場を形成したので「近江町」の文字がある。
江戸享保年間までは加賀藩の御膳所であったが、享保6年(1721年)に庶民も利用できる市場となった。
これが金沢の台所と呼ばれる所以である。
●『聞き書 石川の食事』(農文協)より
庶民の台所として親しまれたことは、現在にも続いている。
金沢ならではの総菜類、加工品に野菜類が豊富なのも生活密着型の小売店が多いからだろう。
そこに観光客相手の店が入り交じる。
大通りからの入り口近くにゆであがったカニが並ぶ。
ズワイガニのオスとメス。
オスが1ぱい1万円からと、なかなかいい値段なのだ。
またその昔安いので、子供のおやつにもなったという「香箱かに(メスガニ)」が1ぱい1000円を超えるというのもすごい。
関東で買えば、高くてもこの半値である。
ちなみに八王子の市場での価格が12月1日にメスで1ぱい350円(卸値)だから、日本海側はズワイガニがもっとも高く売り買いできる地域といっても過言ではない。
この金沢での値段が高すぎるというのではない。
むしろ関東など中央市場を通り過ぎてきたものが安すぎるのだ。
ただロシア産がこのなかにかなり混ざっていて、金沢にまで来て、輸入物のズワイを買うことはない、だろうと思うのだけど。
魚屋にはエッチュウバイがかなり見られた。
やはり北陸から新潟にかけては、もっともエッチュウバイを好むのだというのがまざまざとわかる。
がんどう(ブリの若魚)、水魚(ノロゲンゲ)、ウスメバルに赤らばちめ(ハツメ)などみな素晴らしい鮮度である。
これを金沢の普通の主婦が買っていく。
午前10時を回る。
午前6時からの市場回りで足がガクガクしてくる。
ヤマトシジミさんと通りを渡り、なんとスターバックで休む。
ここで金沢で見た水産物の流れを簡単に整理する。
今回の金沢での視察は島根県の水産物のことを考える上で、収穫が大きいであろうことを確認する。
話はそれてしまうけど、スターバック(うちの姫などは“スタバ”という)の店内に入ったのは初めてだ。
わけのわからんコーヒー(?)、トール キャラメル マキアート420円なんてものを注文してみたらうまい。
考えてみると、ぼうずコンニャクにスタバはお似合だな!
金沢中央卸売市場
http://www.kanazawa-market.or.jp/Homepage/
ウロコ水産
http://www.urokosuisan.co.jp/
石川中央魚市
http://www.kanazawa-market.or.jp/Homepage/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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やっと干物の季節到来、最初は「スミヤキ」
>考えてみると、ぼうずコンニャクにスタバはお似合だな!
人のことを言うのもなんですが、それ
ナシ!!
だと思います。
倉敷のスーパーマルナカでは生きたメスガニが2匹で498円です 小振りで足が取れたりしていますが。
島根でも「スタバ」なんだ。知らなかった。ヤマトシジミさん、お互いに似合いませんね。でも中央線のテレビを見ていたらマグカップ持参大歓迎という自然に配慮したカフェらしいな。アメリカ(?)ってやるよね!
えにきがまさん、メスガニには日本海産と太平洋側産があって、値段からすると鳥取、兵庫の方が高い。また仕入れて二三日すると極端に値を下げて売るんだよね。