新年明けた途端に魚の値段がどっと下がってきた。
それじゃ、魚が大売れかというと、そんなことはない。
売れないから安いわけで、それに輪を掛けてなお売れない。
不況のせいで外食の機会が減っているのだという。
それじゃ料理を作る家庭が増えているのではないか?
魚も売れるだろう。
こう考えるのは短絡的だ。
生活を維持するには共働きせざるおえない。
子供達も老人も仕事にかり出され、また学校に、塾にと忙しい。
家族の時間はズレにズレ家庭内孤食が普通になっている。
当然家庭では、より簡単で、より安いものに目が向きがちなのだろう。
それでも最低限いいものを食べたいと思ったときに、どうがんばっても鮮魚にまで到達できない。
この穴埋めをしていたのが水産物の世界では魚屋の力なのだけど、街に魚屋は消えつつあり、それがスーパーに取って代わり、このような大型小売店では、ますます「安く、うまく」としのぎを削る。
島根イオンの直取引、一見よさそうな取り組みなのだけど、大型小売店の方から出てくるのはあくまで流通コストの削減であって、「あまり見かけない珍しい魚でも安ければ売れる」という実験をやっているように思えてならない。
漁業者は、普段よりも高い魚価をもらい。
小売店は「これくらいの支払いなら普通のやり方よりも儲かる」ほどの支払いで、とうぜん安く商品を手に入れる。
ようするに地方に新幹線を通すという発想に近い。
目的地と出発点だけが潤い、地域が地盤沈下しそうでもある。
ボクが思うのだけど、本当にこれからの大型小売店(スーパー)などに必要なのは、やはり最低限の水産物の知識だと思う。
イオンに限って言えば、まだまだあまりにも知識が足りなさすぎる。
これは大方のスーパー全般にいえることで、今、求められていることは水産動物の分類・利用法のプロだろう。
加うるに水産加工業者が実際の都会の家庭状況を鑑みた商品を開発していく方向性だ。
そうすると、こんな新幹線的なやり方をしないでも、「うまい魚を、それなりの値段で売ること」が出来るようになってくるし、消費者のニーズの幅も広がる。
さて1月中旬に見つけた本題のカンパチだけど、鮮度はそこそこだけどキロ当たり600円で、1本800グラムほど。
いかに不況だとはいえ1本の立派な天然カンパチが500円と少しで買えてしまうのはおかしい。
卸値であるとしても安すぎる。
あまりの安さに漁業者の皆さんには「すまん、すまん」と1本だけ買ってくる。
これをカルパッチョにして、フライにして、アラを煮つける。
フライはブリ科の魚は独特の風味があるので香辛料を利かせる。
アラは大根と煮るのだけど、こんな古風な料理が意外や子供にも大受けする。
そしてカルパッチョという料理は名前こそいかめしい(元々は画家の名前)が、作り方に決まりごともほとんどなく、ようするに薄く切って調味料をかけ回すだけで「そのような料理」が出来上がる。
我が家ではまず皿にニンニクをこすりこみ、そこに塩コショウ、薄く切ったカンパチの身を並べていく。
上にタイム、塩コショウして、エキストラバージンオリーブオイルとレモン果汁をかけるだけ。
塩味は控えめにしてある。
なぜならば太郎はこの上にマヨネーズかけてしまうし、姫は愛用の市販ぽん酢をかける。
そのまま食べる方が正統派だろうけど、考えてみると食卓上にワインはなく、ボクは燗酒を、配偶者は甘い甘い発泡酒を飲んでいる。
ことほど左様にこの国の家庭料理は複雑怪奇愚昧曖昧魑魅魍魎百鬼夜行の代物と言えそうだ。
この複雑怪奇愚昧曖昧魑魅魍魎百鬼夜行の家庭の食卓に、いかに水産物の利用をすすめていくか?
それを考えないと日本の水産業はなりたたぬ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カンパチへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/buri/kanpati.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
ウルイとベニボタンでサラダ 後の記事 »
塩焼きに最適、庶民派、ニベ
おばんです。
この頃、ここをチェックしてました。
大手スーパーの直買いは、私は反対です。
大手スーパーの鮮魚も信用なりません。
こういう場合は、野菜のソムリエがあって、鮮魚のソムリエ?
なぜないのか?
薬局では専門家、薬剤師がいるのに。
スーパーでは食品の専門家が誰も居ない。
マネキンのセールスで売上決まる。
大手スーパーも、管理人様みたいな方が立っているだけで、売上が伸びると思うんですが?
ガイシ撤退、世界的不況+円高による輸入増で国内物専門水産業者はきついですね。
消費者は生活防衛で外食は控えるという構造です。反対に輸入原料をメインにし、最終製品・素材提供している加工業者は業績アップです。
生活防衛ということでは、銀行の預金金利を3%くらいに上げてもらうと生活安心感がずっと増すと思うのですが・・
銀行は自身の失敗をツケを我々の税金でチャラにしたんですから都合のいいことばっかりやってるなよ、と言いたいです。
大手量販はダイエーの二の舞を踏まぬようにして欲しいです。散々ひどいことしてきたんですから公的資金注入なんぞ勘弁です
孤食については、自分の生活時間帯が異なるので子供が大きくなってから私はずっとそうです。しかし、個食とまでは行っていません。同じおかずを分け合って食べてます。
話は戻りますが、需給関係がおかしくなっているんですから、生素材に関しては輸入規制かけるか関税かけて国内業者の保護をわたしは望みます。
samu at様、ありがとうございます。
とっても参考になりました。
しかし、農林漁業は、保護よりも自立です。
貨幣経済で一番大事なのは、生活です。
金が無くとも生きてゆける。
私の母が終戦後の生活を言ってました。
50歳の私、一応青森でホタテ養殖してます。
どんな場所でも、ある程度の自足はできるはず。
青森の県知事が言ってました。
守るよりも、攻め。っと?