築地ではお馴染み、小笠原のアカレンコ

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 東京ならではという魚がある。
 例えば広大な東京湾があって、これを江戸前という。
 例えば南に長く点在する伊豆諸島。
 もっと南にある小笠原。
 この東京の魚でタイ科は何種類だろう。
 クロダイ、キチヌ、ヘダイの要するに黒いタイ。
 マダイ、チダイ、キダイ、そしてアカレンコ。
 たぶん東京都民で魚に詳しい方は多々あれど、東京都で揚がるタイ科の魚を並べていってアカレンコまでたどりつける人は幾人くらいだろう。
 かなり少ないんじゃないだろうか?

 小笠原からの船は一週間に一度前後くらいだろう。
 様々な熱帯の魚をもたらしてくれるが、そのなかでもっとも平凡なものがアカレンコとも言えるだろう。
 この遠く小笠原から来たキダイの仲間を、塩焼きにして食う。
 要するにレンコダイ(キダイ類)の定番中の定番料理だ。
 マダイと比べるとやや水っぽいが、振り塩をすることで、ほどよく締まる。
 これを強火の遠火で香ばしく焼くのだ。

 これがまずいわけがない。
 チダイ、キダイ、マダイ、とタイ科の赤い魚は焼くと絶品となる。
 手でむしくりとってむさぼり食うのだけど、手の熱いこと熱いこと。
 それ以上に絹のように滑らかなアカレンコの白い繊維が、口の中でほぐれて甘み旨味を広げていく。
 まことに塩焼きという単純な原始的な料理はうまい。
 そのうまさは塩という無機質物質で引き出したアカレンコだけのもので、単味を純粋に堪能できる。

 アカレンコの香ばしい、旨味を沼津の白隠正宗山廃純米で流し去り。
 また流し去る。
 やたらに冷え込む夜更けなのであった。

2009年1月10日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカレンコへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/taika/akarenko.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/


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このページは、管理人が2009年1月27日 00:14に書いたブログ記事です。

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