最近目につくもの、それは嘘つきな人類だな。
「正しい食事」とか「食育」とか語ってしまう、やな感じの人類。はたまた全然野菜をしらないのに何とか検定とか受けて、野菜のソムリエなんて本気で肩書き並べているバカな人類。
漢字検定問題もそうだけど、この「検定」なんてやってるヤカラ大丈夫なんだろうか?
その内、ボクが「食の無頼派検定」を行って、正しくない、正直な食の世界を教えるから、それまで無駄な検定を受けないようにすべきだ。
これくらい目に飛び込んでくるくらいだから、それこそうようよ蠢いているんだろう、「正しい人々」って。
気持ち悪いな。
なんども書いているけど、ボクは正しい人間でも、正しい食べ物が好きな人間でもない。
敢えて言えば正直な人類だろうな。
かっこいいこと、見てくれだけいいことは言わないし、できない。
そう言えば、ボクの知人に魚が嫌いな漁師がいる。
この男がほんまにいいヤツだなと、確信した、その最大のものは、「ボクは漁師なんだけど魚が好きじゃないんで」とあっけらかんと言ったからだろうな。
いかん、こんな酒飲みを登場させるつもりじゃなかった。枕が長くなりすぎている。
結論として、正しい、いいことだらけのことばっかり話し、語る人類は不要だ、もしくは「とっても危険だ」と思っている。
だから雑誌などでこの手の人類をたくさん見かけるようになったのは、非常に“危険な社会”に突入しようとしてるんじゃないのか、心配なんだけど。
さて、今回のテーマは「子供向けの料理は必要か?」というもの。
我が家ではボクが夕食を作るとき、とにかく料理の速度だけは速いので、2種類の料理を作る。
1つは和食系、1つは肉系。
例えば、ハンバーグとか、ポークソテー、グラタンに鶏の唐揚げ。
方や魚の煮つけ、酢の物、和え物、蒸しものに、焼き物。
さて、子供はどっち系をよく食べるのかというと、そのときどきで違っていて、判然としないのだ。
そこで登場するのがオウゴンムラソイだ。
ムラソイ自体が非常に目立たない、地味な魚。
魚類学者がムラソイはよくよく分類すると4種類になる、「いや2種類だ」なんて言っているので、こっちの方面だけでスポットライトを浴びている。
でも市場に並ぶと、あまりに地味で哀愁漂いすぎに見える。
ある日、市場でたまたま“分類学者の目”であったときに、オウゴンムラソイの典型的なのを見つけたために、感激して3尾購入した。
これを持ち帰り検索(同定、種を判別)して、煮つけにしたのだ。
オウゴンは「黄金」なのだけどまことに地味な煮つけになった。
ちなみに今回は酒と砂糖、醤油で甘辛く煮た。
酒を使うか、味醂を使うか、砂糖を入れるか、入れないかは、「魚の身がしっかりしている(酒)、柔らかい(味醂)」、「ご飯のおかずにするのか(砂糖入れ)、酒の肴にするのか(砂糖なし)」などと考えているけど、気分で決めていることが多い。
3尾とも煮てしまったのにはわけがあって、2尾ほど酒の肴に、おかずに食べて、残った1尾を明日朝に焼いてしまおう、と思ったのだ。
煮魚をまたじんわり焼いて食うというのは瀬戸内海などでやっているのだけど、まことに鄙びていて好きなのだ。
ところがここに誤算があって、この日も二系統の料理を作っている。
子供達は大量に作ったポークソテーとグラタンも食べるには食べるのだけど、むしろ標的を煮つけに向けたことだ。
3尾の煮つけが、あっという間に消えた。
煮汁も、ご飯にかけて一滴も残らなかったのだ。
我が家の子供達は、敢えて魚を食え、なんて一度も強制していないし、また魚好きでもない。
だから、これを大誤算と思ったわけだ。
オウゴンムラソイの煮つけも確かに美味であった。
この煮汁に侵入をはねつけた真っ白い身が、まことに旨味が強く、またほろほろと舌でほどけていくのが、心地よかった。
ムラソイはカサゴ目だけど、その姿のせいかとても安い。
安い上に、これほどうまいのだから、ムラソイって偉いんだなと改めて思った次第でもある。
ここで改めて検証してみるに、子供が好きなのは「ただ単にうまいもん」じゃないのかね。
子供向けの料理なんて作るんじゃなくて、親はうまいもんを作るべし、かな?
そう言えば、ポークソテーをいちばん食べたのは誰なんだろうか、というと“いちばん食べてはいけない人”だったりして。
現在の体重90キロ弱なのであった。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、オウゴンムラソイへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru/murasoi/oogpnmurasoi.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
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http://www.zukan-bouz.com/
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