滋賀県米原市『やまに』のハス料理 02

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 ほどなく冬瓜の煮物と湖産鮎の山椒煮がきた。
 実をいうと若女将に「飲み物はどうしますか?」と聞かれて、午後にかけての日程から「お茶にします」と言ったのが、ここでぐらついてくる。

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 鮎の山椒煮がうまいのだ。
 炊き方(関西なので)は平凡ながら、炎暑を来た身に山椒の香りが心地よい。
「冷やが欲しいな」
 なんとほんの数分で初志が崩れてしまう。

kurumagiri090611.jpg

 そして車切りがきた。
 背ごしに切った雌のハスを、洗いにしている。
 口に入れるとコっと一瞬、骨が歯に当たる。
 ハスにはまったくクセも臭いもない。
 むしろ淡い旨味がツンと浮かんできて、はかなく消え去ってしまう。
 消え去ったら、またもどかしく数切れを口に運び運び、これは夏らしい味わいだと、我知らず喜びがこみ上げてくる。

 ハス料理が食べられるのは琵琶湖周辺でも、米原市世継周辺のみだったらしい。
 何軒か軒を並べていたハス料理を出す料亭が、今では『やまに』一軒のみとなっている。
 これは時代とともに人の嗜好が移り変わってしまったことも理由に挙げられよう。
 だがしかし、ハス料理が衰退したもっとも大きな理由は、ハスそのものがとれなくなったからであるようだ。
 生きているハスがなければハス料理は作れない。
 その生きているハスの確保が難しいらしいのだ。
 部屋のすぐ西にある琵琶湖、そこに定置網の一種、えりが見える。
 天野川河口はその昔ハスの宝庫であったという。
 船一艘見あたらない湖面にその面影はない。

 産卵期を目前にして、もっともハスがうまくなるのが4月から7月まで。
 そのハスの十尾に一尾しかとれないのが雌だという。
 生きている雌でしかできないのが車切りであって、めったに出合えない一品なのだ。
 その点、今回はついていた。
 しかも名物にうまいものなし、の真反対、車切りの非常にうまいのにも驚く。
 
2008年7月21日
滋賀県米原市世継736
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハス
http://www.zukan-bouz.com/koimoku/danio/hasu.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
参考/『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会編 サンライズ出版)


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コメント(1)

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いつも拝見させていただいております。上記の料理の下に敷いてある<はっぱ>ですが、<あじさい>のような気がします。確か、青酸系の毒が入っていたような。

このような記事もあります。
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/080622/sty0806221928005-n1.htm

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