函館本線は今回の旅に限ってだろうか、乗るたびに混んでいる。
札幌→東室蘭まで1時間20分、室蘭までは乗り換えて20分ほど。
宿を室蘭にとったのは、親戚から賑やかだという町の様子と、市場があるという情報を聞いていたため。
そして町にあるという市場だが、地図やネットで見た限りでは『室蘭中央市場』というのが現在では一軒あるのみらしい。
駅構内に高校生らしきが一人、老人が一人。
こぢんまりした駅をおりて、歩くこと数分で市場にたどり着く。
残念ながら魚屋、肉屋、八百屋、乾物屋などが数件並ぶだけの小さな市場だった。
小さいけど暖かい雰囲気。
1軒だけある清水鮮魚店でイカの刺身を買って、市場の隅っこで食べる。
それを見ていた、文房具屋さんらしき店の女性がワンカップを恵んでくれた。
甘い月桂冠ワンカップに鮮度抜群のイカ刺し、なんだか旅情を感じるのだ。
清水鮮魚店には伊達(噴火湾を臨む町)産のマアナゴ。
たぶん、噴火湾から室蘭あたりがマアナゴの漁業的な北限なのだと思われる。
けだし工業都市であるはずの室蘭の町は、さびれていた。
まちのあちらこちらに、にぎやかだった痕跡が残っている。
飲食街があり、文房具店に家具屋、商店街の店はどれも造りだけは立派なのだ。
町の交差点近くに大きな時計店があって、店内に店主らしき人が立つ。
夕暮れ時、ここだけが明るい。
その夜は室蘭焼き鳥。
鶏肉ではなく豚肉が主役で、たれがさっぱりしているのが特徴なんだという。
鶏の唐揚げが「ザンギ」。
「ザンギってなんですか?」
「なんでしょうね。唐揚げのことかな」
品書きに「たこザンギ」というのを見つけて食べてみる。
軽く酒を飲み、夜の室蘭をそぞろ歩きするが、なんにもない。
坂道をのぼり、下り、そのまま『オーシャンホテル』という名の安い宿に帰る。
すっかり夜となったどこからか甘い香りが漂ってくる。
見上げると街路樹に白い花。
海辺の小さなホテル、多すぎるメモの整理をして、ダウン。
時計はまだ10時にもなっていない。
翌日は土砂降りの雨の音で目覚める。
午前4時過ぎ。
致し方なくタクシーを呼び、鷲別へ向かう。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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そろそろイサキの塩焼きといきますか