北海道室蘭市室蘭魚市場は楽しかった。
市場が楽しかった上に宮森水産の伊藤裕行さんにお会いでき、しかも地元の話をたっぷり聞かせていただいた。
室蘭生まれの伊藤さん、宮森水産の女将さんから聞いたお話で、意外で、また思っても見なかったサラガイ料理があって、それが野菜炒めだ。
伊藤さんによると至って平凡な家庭料理だけど、なかなかうまくて、毎日食べても飽きがこないのだという。
サラガイはぬたにしたり、刺身で食べたり、なめろうにしたりとクセのない貝なので、料理を選ばない。
酒蒸しにしても、味わい深いのは、いいだしが出るからだろう。
野菜とサラガイのだしを絡めるように、ささっと野菜炒めを作ってみよう、そんなことを考えて歩いていると、「おお! なぜか中華『さくら』の前に来ていた。
この店の野菜炒めは絶品、すごいのである。
野菜炒めで感動できる店なんて、多摩地区広しといえども、『さくら』以外には考えられない。
店をのぞくと、まささん、お母さんが麺の仕込みに急がしそうだ。
まあ、人が忙しいことなんてどうでもいいことなので、前を通りかかったついでに白貝の野菜炒めを作ってもらう。
むき身を手渡し「野菜炒めを作ってよ」とお願いすると、
「丸のまま入れるの。野菜炒めじゃない方がいいんじゃない」
困ったことに別の料理を作ってしまいそうだ。
「野菜炒めを作ってね。普通のヤツね」
まささん、いやいやながら、白貝をむき身丸ごと放り込み、ささーっと野菜と炒める。
野菜はキャベツ、セロリ、もやし。
味付けは塩こしょうと、『さくら』特性のたれ。
作る時間はほんの数分。
なんともあっけなく出来上がった野菜炒めだけど、困ったことに味は名状しがたい。
うますぎるのだ。
まささん曰く。
「オレの味付けがいいからうまいんだ」
こんなことを言ってくれるが、明らかに間違っている。
今回に限り、まささんの腕が3割、白貝の味のよさが7割で、このウルトラうまい野菜炒めが出来上がったとみるべきだ。
サラガイのよさは、熱を通してもあまり硬くならないことだろう。
炒めるそばから旨味がにじみ出て、しかも、それなりに炒めているのにむき身は程よく柔らかい。
塩こしょうが中心となって、酒、醤油などが少々混ざっているのだけど、サラガイの旨味と相乗効果しているようなのだ。
この炒めて、にじみ出てきた汁のからんだ野菜がまたうますぎる。
たぶん、ご飯と一緒に食べたら最高なんだろう。
朝ご飯をすましてきたことに強い後悔の念が浮かんでくる。
さて、サラガイの入荷が続いている。
当分の間、我が家で白貝の野菜炒めが続きそうだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サラガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/saragai.html
八王子市場案内へ
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
http://www.zukan-bouz.com/
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まさに猛暑日、だからサメガレイのぬた