最近「バチ玉」見ない。
築地にもあまり来ていないようだな。
探して歩いていると場内「濱長」に本場九十九里のバチ玉があるではないか?
少々小振りだが、値段がキロあたり1300円とはありがたい。
たぶん韓国産アカガイの半値だろう。
店員の福地のアネゴにお願いして買い求めてくる。
これは本日の酒のアテなのだ。
場違(バチ)なんて罰当たりな言い方が申し訳なくなるほど、夏のサトウガイがうまい。
そうだ、書き忘れているが、バチというのはアカガイに近い二枚貝、サトウガイのことだ。
旬は夏だと言われているが、実はよくわからない。
入荷が目立つのが夏であるだけのような、そんな気もする。
なぜ場違(バチ)と呼ばれるかというと、江戸前は東京湾内で揚がるアカガイに対して、サトウガイが江戸湾じゃなく、九十九里などの外洋に面した浜であがるためだ。
江戸前じゃない、というのとアカガイよりも味が落ちるがための呼び名らしいのだ。
ついでにサトウガイの「サトウ」が砂糖でも日本の名字・佐藤でもなく、イギリスの外交官アーネスト・サトウにちなむというのも、忘れるべきではない。
サトウは幕末の日本へイギリスの一外交官として赴任してきたのだが、その天才的な語学力と、時代を見極める頭脳によって、維新への扉を押し開けてくれた、日本の恩人だ。
詳しく知りたい方は朝日新聞の文庫版『遠い崖』を読むべし。
ボクは夏になるとアカガイじゃなく、サトウガイを好んで酒のアテとする。
なぜアカガイと比べて評価が低いのかというと、足(可食部)の赤味が弱いためとか、味が落ちるためなんて言われている。
でも、値段ほどには味は落ちない。
むしろ産卵後のアカガイよりうまいんじゃないだろうか?
ちょっと渋みをおびた甘みと、独特の貝らしい風味。
しこっとした歯触りも、とても心地よい。
千葉県大原の名酒、「木戸泉」をやや冷たくして、間の手にバチ玉。
これ、まさに佳肴。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サトウガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/funegai/satougai.html
刺身の作り方へ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/funegai/akagai01.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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左に目があるヌマガレイ