最近、食堂の陰が薄い。
国道沿いなどに「なんとか食堂」というのがある。
これが困ったことに、食堂ではあるだろうけど、姿を変えた新しいチェーン店なのだ。
一見地元ならではの食堂に見えて、実はチェーン店という存在は嫌だな。
大正昭和に誕生した食堂という外食の場の歴史のことは、誰かが必ず残さなければならない。
エンテツさんなんかが、やっていることの重要性をもっと多くの方が知るべきだろう。
さて、今回のテーマが、食堂で使われる品書きの「たいかす」というもの。
漢字に直すと、「鯛粕」だろう。
「鯛の粕漬け」ととらえるのが正しいけれど、「鯛」はマダイではなく、アコウダイにあたる。
アコウダイはカサゴ目フサカサゴ科メバル属の魚だけれど、体長50センチくらいになり、赤い。
それで「赤魚」。
水深4~5百メートル以深にいて、釣り上げると目と鰾(うきぶくろ)が飛び出してしまう。
ここから「目抜け(目抜け)」という名も生まれた。
「赤魚」というのとアコウダイの「鯛」で、商品名が「赤魚」、品書きに「鯛」なのだ。
さて、アコウダイはもともと庶民的なものだった。
それが徐々にとれなくなって、非常に高価なものとなった。
いつのまにか高級魚となったのだ。
とても加工品にする値段ではない。
そんなとき北の海で大量にとれたのがアラスカメヌケという魚。
アラスカメヌケもアコウダイと同じメバル属、そして「赤い」。
これがアコウダイの代わりとなってくる。
東北、北海道などでもとれるが、主にロシア、アメリカ海域で水揚げされる。
今ではほとんどが輸入もの。
「赤魚の粕漬け」の原材料魚がアラスカメヌケであることを知られないまま、食べられている。
ここで現在の「たいかす(鯛粕)」、「赤魚の粕漬け」がアラスカメヌケだというのがわかっていただけただろうか。
このアラスカメヌケもあまりとれなくなって、大西洋のメヌケも加わるのだけど、ここでは話を置く。
さて、今回のものは宮城県石巻市『ダイショウ水産』のもの。
ほどよく甘くて、ご飯に合うし、味がいい。
どうも粕漬けは、甘い方がうまい。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アラスカメヌケへ
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