国内でとれるマグロ族でもっとも知名度の低いのがコシナガである。
この魚を知っていたら魚通に違いない。
なかなか手に入らないものだが、珍しくはない。
なんども半身は買っているし、食べた記録も残っている。
でも、この魚の基本となるべきデータが簡単には集まらない。
画像の整理をすると、秋に多いのがわかる。
産地の山陰でも秋の魚だ。
じゃあ秋に買おう。
それで初秋に行った島根県浜田市、松下鮮魚店に送っていただきたいとお願いしていた。
「今年はコシナガが少ないんです。やっと見つけまして」
松下鮮魚のお姉さんから返事が来たのは、かなり秋も深まってからだ。
約3キロ、一見メジマグロ(クロマグロの若魚)のようだ。
違っているのは胸鰭の長いことと、側面に散らばる楕円形の白い斑紋。
無造作に三枚に下ろすと赤さのなかに鈍さがある。
脂がのっている証拠である。
刺身で食べたら、非常にうまいのである。
寒の時期に食べるメジマグロそっくり。
口の中でほどよくとろける。
刺身をとった後の砂刷りの焼き物、中骨の煮つけが、これまた刺身以上にうまい。
山口県北浦、島根県では秋の魚として珍重されているという。
そのわけが、この味にあったのである。
秋の山陰の味、コシナガを覚えておこう。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、コシナガへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/maguro/kosinaga.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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