瀬戸内海は豊かだな。
沖からまんがんの船(万鍬漁 底曳網)が帰ってくるのを待つ。
宇部市にある小さな港なのだけど、コチ、ヒラメ、イシガレイ、メイタガレイ、アカガイ、サトウガイ、スダレガイ、ミミイカなどが生きている状体で水揚げされる。
漁師さんが頭を落とし。皮を剥いたコチの透明な筋肉がまだ震えている。
そして冬の主役はガザミ(ワタリガニ)の雌だ。
ガザミは海水の中で紫の、青の色素を吐き出しているように見える。
「うまそうだな」。
宇部にある魚屋「魚かつ」さんに旅の途中で買って帰れないのを「残念だ」とため息混じりに話す。
あんまりうまそうなので、ゆでたガザミの雌を送ってもらうことにした。
数日して届いたガザミをあまりに美しいので撮影。
甲羅を取り、身を二つ割りにする。
中からこぼれ落ちてきたのが大量の真子なのである。
橙色のどこか宝石を思わせる真子。
このようなときには、いきなりかぶりつく方がいい。
このうまさは名状しがたい。
うまいカニは「うまい」という言葉も出なくなるのである。
クール便できたガザミはほんの少し、蒸し器で温めてた。
これでゆでたての味に近づけるのだけど、超弩級のうまさに圧倒される。
春待ち遠しい候ではあるが、ガザミを食べていると冬を惜しむ気持ちが高まってくる。
このうまいガザミを送っていただいた「魚かつ」さんに感謝するとともに、もう一度宇部に行きたくなってしまう。
けだし宇部は遠いな。
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