「チシャなます」という夏ならではの料理がある。
チシャは年中とれるので、夏だけのものではないが、ボクには暑い時期に食べるものに思える。
「チシャ」といってもわかってもらえそうにないので説明したい。
単純にいうと「チシャ」=「レタス」になる。
レタスといっても丸くはならず、リーフレタスの一種で、収穫のとき葉を一枚一枚かきとっていたので「かきチシャ」、「かきな」などともいった。
葉にみずみずしさがなく、味は現在売られているサニーレタスに近く、ときどき強い苦みがあった。
レタス類は明治期以前に日本に入ってきたもので、野菜では少数派のキク科だ。
害虫被害の多いアブラナ科の野菜とは違って、害虫が少なく、連作しても障害がない。
夏の暑さ、冬の寒さにも強い。
だから古くは日本各地で盛んに作られ、その地その地のチシャの品種があったと思う。
この古いチシャの品種を完膚無きまで駆逐したのが、高度成長期に誕生したサニーレタスや、丸くなるレタス類など苦みのない新品種たちなのである。
蛇足になるが、この懐かしいチシャが今でも盛んに作られているのが沖縄だ。
とにかく現代の多摩地区の我が家では、比較的昔のチシャに近いサニーレタス(この名は車のサニーからつけられた)、ロメインレタスを魚貝類と酢みそで和えたものが「チシャなます」になる。
さて、チシャにあわせるのが「泥酢」なのだが、これは酢みその一種。
辞書などに辛子酢味噌をいうとあるが、ボクの生まれた徳島の片田舎では、「ゆるく泥水のような酢みそ」をさした。
サニーレタス、我が家流泥酢、スーパーで特売されていたスルメイカを合わせて、夕べの酒のアテにする。
泥酢にはたっぷりと辛子が溶かし込んでいる。
猛暑の日、夕べとなっても以前熱気は去らない。
メタボオヤジのボクだって食欲が失せてしまっている。
そこにサクサクと軽くさわやかな味わいの「チシャなます」が、とてもよいのである。
たっぷり溶かし込んだ辛子に「辛いなーー」なんて口をひりひりさせて、これもよい。
「チシャなます」は猛暑の日に、とても作りたくなる一品ではないだろうか。
材料
泥酢/みそ大さじ3、カツオ節だし大さじ3、酢大さじ1と1分の1(加減する)、サトウ、煮切りみりん少々、練り辛子(粉辛子をゆで練り、密閉して小一時間おいたもの)
スルメイカ輪切り、サニーレタス適宜。
作り方
1 泥酢の材料をすり鉢などで合わせておく。
2 スルメイカは塩ゆで、サニーレタスは適当にちぎっておく。
3 食べる直前に1と2を和える。
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