時計を見ると午後3時を回ろうとしている。
品書きを見るに、いちばん魅力を感じるのは、なぜか「カツ丼」。
考えてみると4時前に起きて、摂取した糖質といえるものは御殿のような川魚料理店でのナマズの握りだけ。
そのあまりにもつたないすし飯に、悲しい思いをしたが、それでも我が腹の虫は、これでなんとか治まってはいるわけで、不幸中の幸いとはこのことだ。
「カツ丼」を食いたいという衝動を抑えて、本日2度目の川魚料理を注文する。
予め、『聞書き 群馬の食事』で予習した、天ぷらに、たたき揚げ。
腹の虫が「これでは少ない」というので「鯉こく」に「鯉のあらい」。
この「とにかく淡水魚食ってやるぞ」という注文にお姉さん二人は淡々と反応。
待つ間に、ビールをグビっとやり、大量の藪蚊を追い回す。
そういえば蚊の同定が出来たら面白いだろうな。
昆虫の分類は最近ますます細分化され、また発見が発見を呼ぶ状況らしい。
魚貝類を見るとすぐに分類地図が浮かんでくるわけだけど、昆虫の分類地図がカに刺されるたびに浮かんだら、O型人間なので人生観が激変しそう。
さて、まずやってきたのが、板倉町名物のナマズの天ぷらと「たたき揚げ」。
腹の虫が「撮影などしないで早く食え」というのを抑えて、ゆっくり何度も撮影。
そしていきなり、半分くらいかぶりついて腹の虫をなだめる。
これが実にうまい。
腹が減っていたせいではなく、そこには分厚いクセのない白身があって、豊潤かつ旨みありありの大満足的美味が現実に存在する。
私、ここに小林屋のナマズの天ぷらは名物にしてうまし、と言っておこう。
そして「たたき揚げ」だが、外見からするとサクっとした食感を予想してしまうが、実はムチッである。
このムチッとして妖艶な食感が蠱惑的だ。
味わいはまことに上品、淡々としたものだが、ナマズの真価はこの食感にあるのだろう。
みじん切りのニンジンやゴボウがこれまた脇を固めていい味出している。
ボクの故郷は徳島県の山間部に位置する。
吉野川水系の貞光川というのがボクの家のようなものだったのだけど、商店街に本当の住まいがあって、この地区には実は川魚を食べる習慣がなかった。
ナマズは夜行性なので、昼の魚取りではなかなかとれない獲物。
それでも淵に潜って、えぐれた洞のようなところを狙えば、とれなくはない。
あのときナマズを食っていれば、ボクの人生も変わっていたかも知れないな、なんてふと思うのだった。
さて、小林屋の昼酒はまだまだ続くのだ、の心だ!
小林屋 群馬県邑楽郡板倉町大字板倉2335
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ナマズへ
参考にさせていただきました グッドグンマ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
« 前の記事
ナマズ食うなら小林屋 01 後の記事 »
ナマズ食うなら小林屋 お仕舞い
ナマズ食うなら小林屋 01 後の記事 »
ナマズ食うなら小林屋 お仕舞い