ある日、BSを見ていたら、吉田類が三重県の居酒屋で南勢町で作られているという「塩切り」というものを肴に一献傾けている。
まことにうらやましい酒場放浪であって、ボクもこのようなところで、このような肴に出合いたいものだな、なんて思いながらよくよく見ると、これが「塩かつお」なのである。
毎年暮れに沼津の仲買 山丁さんにいただいている(感謝、感謝!)、西伊豆の「潮かつお」と同じ物。
いろいろ調べてみると、「塩切り」、「塩かつお」は同じようなものらしい。
「塩かつお」は要するにカツオの塩漬け。
これを干すこともある。
決してローカルな食材ではなく、1960年代くらいまでは八王子の魚屋でも普通に見かける当たり前の保存食のひとつだったという。
たぶん産地は静岡県など東京近県であったと思われるが、調べてみなければいけない。
想像の域だが、「塩かつお」は、太平洋側のカツオの産地ではどこでも作られていて、全国的に流通していた。
それが塩分の強さから、敬遠されるようになり、今日に至っているのだと思う。
何年か前に沼津で作り方を教えてもらっている。
三重県南勢町のホームページにちゃんと「塩切り」が載っていたのも、やるな! なんて思った次第だ。
作り方は簡単、カツオやサバ科の魚に思いっきり塩をするだけ。
3年前にヒラソウダで作ってはいるが、カツオはやっていない。
いざ作らん! なんてカツオの半身を買い求めてくる。
3キロ物の丸々と太った戻りガツオで、片身を『市場寿司』に提供して、沖縄の塩を両面にまぶし、その上に塩を山盛りにする。
毎日、上下ひっくり返すこと、1週間で出来上がった。
我が家においでになった杉浦太陽さんにも味見してもらったが、いかがだっただろう?
日本酒飲みにはたまらん味わいとなった。
1週間を過ぎたら、味に深みが出てきて、2週間目となって旨みがどっしり重量級になった。
徳島県美馬市で買い求めた青いレモンが、非常に好相性だ。
日本酒のみならず、近所の酒屋で買い求めたバーゲンもののサントリー山崎の10年ものとも合うのである。
しかも、しかもだ。
これを炊き込みご飯にしてみたら、びっくり。
恐るべき、恐るべきうまさだった。
青いレモンをしぼり食らうのだが、なぜにこんなにうまいのやろね!
メタボにとっては恐くなる。
このように誰でも作れる、うまきものはもっと誰もが作ればいいのではないかねー。
酒が進みすぎる秋の夜に、しみじみ思うのだ。
材料
カツオ半身、塩3つかみ
作り方
1 カツオに塩をまぶす。上にまた塩をのせる。
2 毎日、上下を入れ替える。1週間くらいで出来る。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カツオへ
三重県南勢町のホームページへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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