『からだにおいしい 魚の便利帳』は昨年秋から作り始めて、今年5月に刊行された。
ボクにとってというか、自分の名前で出した初めての本である。
内容のほとんどはボクが長年調べてきたものだし、写真だってほとんどが我がデータベースのものを使用している。
今現在出ている水産系の食材図鑑としては、明らかに最上のものであると自負している。
この値段で、これだけの情報を網羅するのは絶対他では出来得ないと思う。
ただ、本当にこれがボクの本なのか、というとちょっと違うように思い始めている。
我がデータベースは無手勝流に、まるで獺のようにがむしゃらに集めたもので、混沌としている。
魚だけではなく、食べ物、歴史などなんでも集めては、調べ、また調べ。
あまりに膨大になりすぎて、自分で作ったものなのに、全容が見えなくなっていた。
その実態は固体ではない、例えばコロイド、もしくはアミノ酸のような状態であって、まだまだ形すらない状態だった。
このような状態で一冊の本を作るのは至難中の至難なのである。
出版から半年が過ぎてわかってきたのは、本書を企画、そしてまとめた石倉ユキヒロさんの偉大さであり、また執筆協力をしてくれた方と高橋書店の若々しいバイタリティがあってできた本であるという点。
本書は明らかに皆さんに作っていただいたもので、ボクは脇役だったのかも知れない。
その上、本書を作ってから我がデータベースはアミノ酸状態から、やっと固体になりつつある。
将来の固体としての造型が見えてきたわけで、この方向性は本書を作って始めて見つけたものだ。
というわけで、改めて石倉ユキヒロさんはじめ、本書の編集制作に関わった方達に感謝の意を表明したい。
最後に、本書は我がデータベースのほんの一部を切り取ったに過ぎない。
今現在我々が日常的に利用できる水産物総てを網羅したわけでも、また比較的ひんぱんに見かける水産物総てを取り上げているわけでもない。
まだまだ情報としては不完全と言わざる終えない。
「一日一ミリでも前に!」がボクのモットーである。
より優れたデータベース、本を作るべく努力を重ねる所存なのである。
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