トントコエビで天とじ丼

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大正時代から、鹿児島県錦江湾で行われている漁に「トントコ網」というのがある。
底曳き網でも深海にまで網を下ろす、かけ回しである。
獲物のなかでとくに目立つのが3種のエビで、ダツマエビ、シタエビ、グラマンエビという。
いちばん大きいのがダツマエビで、標準和名をナミクダヒゲエビといい。
シタエビはジンケンエビの仲間ではあるが、まだ和名がない。
そしてもっとも小型のグラマンエビとはイズミエビのことだ。
グラマンとは第二次世界大戦以来活躍したアメリカの小型戦闘機のこと。
なんだか時代を感じるのである。
垂水市の浜島さんから、たっぷりトントコ網のエビが送られてきた。

三種のなかではナミクダヒゲエビがもっとも大きくなる。
そしてこれだけが根鰓亜目、すなわち大きな意味でのクルマエビ類にあたる。
送られてきたなかから大型のものを選んで、根鰓亜目にもっとも向いた料理、天ぷらにしてみる。
これが名状しがたいほどの美味。
ついつい箸が伸びるという代物であった。
あまりにうまいので、デブには禁断の「アレ」が作りたくなった。
けだし「アレ」だけはやめた方がいいのではないか?
もだえ苦しみながら、冷蔵庫をのぞき、肝心のものがないので、近所のスーパーに車を走らせる。
買い増したるものは玉ネギと卵、そして市販のストレートタイプのそばつゆである。
最近、いろんなメーカーのそばつゆを試しているのだけれど、今回買ったのは永坂更科のストレートタイプ。

さて小型のテフロンフライパンにそばつゆと玉ネギを放り込む。
ここまでくれば「アレ」の正体は見え見えである。
ようするに天とじ丼なのである。
別名、天玉丼などともいうと思うが、他にもあるかも知れぬ。
世に三大丼などというものがあり、言わずもがなだが「カツ丼、天丼、親子丼」のことだ。
でも料理法からすると、実は天丼はおかしい。
むしろ天とじ丼にかえるべきだと思うのだけど、いかがだろう?

ボクはこの自宅で作る天とじ丼が大好きだ。
なぜだろう、そば屋などで食べるこれが、まったくうまくもなんともない。

ややつゆだくなので、しゃわしゃわとかき込み、ときどきエビの尾の部分を集中的にかみ砕く。
またシャワシャワ、しゃわしゃわ、なのだけど、あっけないのだよね、ほんの5分で丼の中はご飯粒ひとつない状態になってしまう。
甘くて、エビの旨みと風味があって、それを卵が包み込み、抱え込み、ご飯と一体感を生み出している。
強く強く「飯を食った感」を感じ、そしてデブは強く強く後悔するのであった。

材料/天ぷら(エビ)、玉ネギ適宜、卵適宜、そばつゆ
そばつゆは自家製してもよい。ある程度のものを作るのは簡単至極。どんなに料理音痴でも作れる。ただし毎回同じ味わいに作るのは至難。また天とじ丼にはそばつゆなどだし系を使うが、親子丼にはだし(旨み)系は不要。
作り方
1 テフロンフライパンにそばつゆを好みで入れ、玉ネギを加えて煮る。
2 ある程度玉ネギが煮えたら、エビ天を入れる。
3 つゆとエビがややなじんだら卵を半量入れ、完全に火を通し、最後にまた半量を入れる。最後に入れる卵の火の通し加減は好み。好き勝手にやるべし。

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このページは、管理人が2011年5月 7日 14:55に書いたブログ記事です。

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